日時:平成21年3月16日(月)18:30~20:30

テーマ:「残り数十億人のための未来のインターネット」
報告者:キルナム・チョン氏(韓国KAIST教授、慶應義塾大学特別研究教授)
会場: :インテル株式会社内 会議室
報告趣旨:第4回ソーシャル・イノベーション研究会は、韓国KAISTの教授で、現在慶應義塾大学特別研究教授でもあるキルナム・チョン氏をお迎えして、「残り数十億人のための未来のインターネット」についてご講演をいただいた。チョン教授の問題設定は、「アフリカ、中国やインドにおいて我々はどのようにして百万の学校をつなぐことができるのか、そのために我々は未来のインターネット技術を必要なのか」という点にある。チョン教授は「Future Internet Projects」について、現在インターネットを使っている先進国の人々がもっと高度に利用可能とする点を重視しているが、インフラも経済も弱い「残り数十億人」のためにどうするのか、つまり、深刻化しているデジタル・デバイドの問題をどうするのか、という点を我々は考えていかなければならないと強調された。そして、今後発展途上国におけるインターネット・ユーザを増やすために、「開発途上国にあったインフラ開発の必要性」、「オープン・リサーチで取り組むことの重要性」、さらに、「先進国も含めたコーディネーションの必要性」を指摘された。研究会の出席者は10名と少人数であったこともあり、チョン教授とのディスカッションの時間を十分に取ることができ、活発な意見交換が行われた。
最後に本研究会は、予定通り年四回の研究会を実施することができ、研究会の開催目的を無事終了することができたことを学会事務局、そして会場を使用させていただいた方々など、関係者の皆様に御礼申し上げたい。
日時:平成20年12月23日(火)13:00~15:00

テーマ:「ICTのイノベーションにより、選挙はどのように変わるのか-日米韓の比較討論会」
パネリスト:杉原佳尭氏(特定非営利活動法人 地域情報化推進機構理事長)
李洪千氏(慶應義塾グローバルCOE研究員)
清原聖子氏(情報通信総合研究所研究員)
司会:上田昌史氏(国立情報学研究所助教)
会場: 国立情報学研究所(学術総合センター)12階講義室Ⅰ・Ⅱ
報告趣旨:国立情報学研究所の上田昌史氏を司会に、3名のパネリストのプレゼンテーションが行われた。杉原氏の報告では、選挙出馬経験も交え、日本の選挙におけるインターネットの導入に関する議論が提示された。李氏の報告では、韓国の2002年大統領選挙を事例に、インターネットが選挙に及ぼした影響に関して研究報告がなされた。また、清原氏の報告は、2008年アメリカ大統領選において、なぜオバマ氏が当選したのか、インターネットや携帯電話の利用との関係から論じたものであった。
当日は祝日にも関わらず、出席者は学会員等計15名に上り、参加者からパネリストへ多くの質問が寄せられ、「ICTのイノベーションにより、選挙がどのように変わるのか」という観点から、活発な議論が行われた。
なお、3名のプレゼンテーション内容について、詳しくは学会誌に掲載予定であり、ご参照いただければ幸いである。
日時:平成20年9月18日(木)18:00~20:00

テーマ1:地域医療におけるコミュニケーションとICT
発表者:秋山美紀氏(慶應義塾大学総合政策学部専任講師)
テーマ2:「健康医療分野における総務省の取組」
発表者:山中絹代氏(総務省情報流通行政局情報流通高度化推進室企画係長)
会場: (財)マルチメディア振興センター3階中会議室
報告趣旨:
第2回ソーシャル・イノベーション研究会では、2人の講師をお招きし、研究者と行政、それぞれの立場から、医療・ヘルスケア分野にICTがどのような変革及び効果を与えることができるのか、成功事例をご紹介いただいた。秋山氏は、地域医療の抱える問題点を「組織間と専門性の壁」と捉え、ICTがそれらの問題点を取り除くことに寄与できるのか、という観点から密度の濃いフィールドワークに取り組まれており、千葉県山武地区と山形県鶴岡地区の事例について、研究成果を発表された。秋山氏のご研究から、二つの事例には、非同期型と蓄積型というメディアの特性が見られ、それが医療職種間で共通基盤となる情報共有を可能とし、また、情報発信に抵抗がなくなることにより、医師と共同で医療を行う職種(薬剤師や訪問看護師)との間に伝達される情報量が増加することが明らかになった。一方山中氏は、政府のICT戦略の一環として、総務省が経済産業省、厚生労働省と現在連携して取り組んでいる浦添市の「健康情報活用基盤実証事業」及び、秋田大学附属病院における「ユビキタス点滴台」の事例について紹介された。今後NGNなどネットワークが高度化し、ブロードバンドがさらに普及していくことが予想されるが、総務省としてはそうしたインフラ整備とともに、健康医療分野の成功モデルを他の都市や地域にうまく活用していきたい、というお話であった。当日の参加者は、若手研究者、医師、行政、コンサルタントなど多方面にわたり、講演後の講師とのディスカッション・タイムには、活発な質疑応答が行われた。

日時:平成20年5月31日(土)15:00~
テーマ:「人口減少下の経済成長とイノベーション―次世代ICTの可能性―」
報告:篠崎彰彦(九州大学教授)
会場: 国際大学GLOCOMホール
報告趣旨:
ソーシャル・イノベーション研究会では5月31日、国際大学GLOCOMホールにて、九州大学の篠崎彰彦教授をお迎えして、第1回研究会を開催した。
篠崎先生には、『人口減少化の経済成長とイノベーション-次世代ICTの可能性―』と題してご講演頂いた。篠崎先生は、国際比較の観点から様々な統計をご提示され、創意工夫と新しい技術を導入すれば、日本の生産性は加速し得るし、それにITは貢献できるとご指摘された。また、当研究会のキック・オフ・ミーティングということを念頭におかれ、今後イノベーションの観点からどのような研究課題に取り組む必要があるか、という点をご提案くださった。篠崎先生によれば、「世界が今どのような課題に直面しているのか」「技術革新はグローバルな課題や制約条件にどのように貢献できるのか」といった視点を念頭に置き、環境問題(グリーンIT)、食糧問題、自然災害、医療、教育問題などを考えていく必要がある。そして、ITが関与した政策のグランド・デザインを描き、ビッグ・ピクチャーと細部の施策を組み合わせていくことで、「日本のITのグローバル展開の可能性を探る」ことが重要である。それが今後20年の日本の成長力の鍵を握ると見られる。今回は、情報通信政策研究会議(ICPC)との共催であったため、参加者も多く30名ほどであり、有意義な議論が行われた。キック・オフ・ミーティングとしては、アカデミックな立場の人から、多様な業界、行政関係の方にも関心をもって頂き、成功したと思われる。次回以降、少しずつ各論に入っていき、医療や選挙におけるICT活用に関する政策論について専門家をお招きして検討していきたい。