<2011年度>
第2回情報知財研究会報告
日時: 2011年7月14日(木) 18:30~20:30
場所: 東京大学先端研知的財産権大部門丸の内分室(東京駅八重洲側新幹線日本橋口直結のサピアタワー8階)
テーマ:「韓国のデジタル放送と著作権の最新動向」
発表者: 金泳徳 氏(韓国コンテンツ振興院日本事務所長)
概要:2011年度第2回研究会は、韓国コンテンツ振興院日本事務所の金泳徳所長をお招きして行われた。
金所長の報告は、「韓国における放送事情」と「放送と著作権」という2部構成で行われた。第1部では、日本や米国の影響が強かった戦後間もなくからの韓国テレビにおける放送の歴史が概説され、軍事政権に翻弄された1960年代から1980年代、ケーブルTVや衛星放送による多チャンネル化が進む1990年代から2000年代、そしてデジタル・ネットワーク・スマート化が進展する現代に至るまでの放送事情が報告された。韓国における放送の特徴として挙げられたのは公共放送色の強さである。韓国では、企業や新聞の地上波放送への参入禁止、外資制限や国内制作番組の編成クォーターなどの保護策がとられてきたが、最近ではネット放送や地デジ転換などを迎えてデジタル・ビッグバンが起こりつつあり、グローバルIT企業が主導する競争が起こっているとのことであった。
第2部では放送と著作権について、韓国における著作権をめぐる環境が報告された。最近では、デジタル・ネットワーク化と韓流ビジネスによって、権利ビジネスの現場と制度上の変化が促されつつあるという。著作権行政の成果としては、不法複製侵害の減少や世界初のアドレス停止措置などによる保護策等が挙げられ、一方の課題としては24時間著作権保護システムの構築、著作物利用の活性化、デジタル環境にふさわしい法制度の整備が挙げられた。放送3社(KBS,MBC,SBS)と外注プロダクションとの関係については、放送局の力の強さが収益の分配割合や著作権の帰属に反映しているとのことであった。
報告のあと、参加者からは非常に活発な質疑・意見が行われ、韓国における放送と著作権の現状についての強い関心が示された。
第1回情報知財研究会
日時: 2011年5月26日(木) 18:30~20:30
場所: 東京大学先端研知的財産権大部門丸の内分室
テーマ:「クラウド・コンピューティングと著作権・序説~コンテンツビジネスへの影響を中心に~」
発表者: 奥邨弘司 氏 (神奈川大学准教授)
概要: 2011年度第1回研究会は、神奈川大学の奥邨弘司准教授をお招きして行われた。今回は、情報ネットワーク法学会著作権研究会との共同開催である。
奥邨先生の報告は、クラウドコンピューティングと著作権の関係を論じるものであり、クラウドとコンテンツ・オーナーシップに関する問題や、米国におけるCablevision事件、4th Screen問題、MP3tunes事件といった関連事例、想定されるUserのUse Case と著作権の問題、わが国におけるまねきTV事件及びロクラクⅡ事件の最高裁判決などが紹介され、それぞれに検討が加えられた。
報告終了後は、研究会に参加された大学関係者、実務家など様々な立場の方々から活発な質疑がなされ、終了予定時刻を超過しての散会となった。
<2010年度>
日時: 2011年3月3日(木) 18:30~20:30
場所: 東京大学先端研知的財産権大部門丸の内分室
テーマ: 「米国連邦特別巡回区控訴裁判所の特許判例におけるAmicus Brief」
発表者: 井上理穂子 氏 (国立情報学研究所)
概 要: 第5回研究会は国立情報学研究所の井上理穂子氏を講師にお招きして行われた。本研究会での議論は、米国のAmicus Curiae制度の成り立ち、Amicus Curiae研究、CAFC(連邦特別控訴裁判所)のこの20年間の特許判例に関するAmicus Briefの傾向及びAmicus Curiae制度の日本への導入の是非についてであった。
まず、Amicus Curiaeとは、「裁判所の友」という意味であり、当事者以外の第三者に事件の処理に有用な意見や資料を提出させ、裁判所の補助とするのが制度の主旨である。しかし米国では最高裁規則、CAFC規則のどちらにおいてもAmicus Curiaeに関しては、提出方法に関する規定しか存在しない。そこで『裁判による法創造と事実審理』 [原竹裕, 2000]をふまえ、Amicus Curiaeの特徴をまとめると次のようになる。
①専門的知識や当事者だけでは提出されない情報が提供される。
②社会利益を法形成に反映することができる。
③関連する実定法規定が完備されず、その権限が連邦及び州の裁判所の判断にゆだねられているために機能が明確でない。
④既判力が提出者であるAmiciには及ばず、リピート・プレイヤーとして同一ないし類似争点を含む訴訟に関与することが可能な結果提出書類であるAmicus Briefの数が増加し裁判所の負担が増える。
一般にAmicus Curiaeについて、情報提供としての役割を認めるLegal Model、裁判への影響力を認めないAttitudinal Model、利益団体の裁判所に対するロビー活動とみなすInterest Groupという三種のモデルがあると言われているが、Colleen v. Chienによる最高裁とCAFCへの最新のAmicus Curiae(特許事件)についての実証的アプローチによる研究では、事実を根拠に上記3種のモデルに代わってaffected groupsからの意見として中身より数と種類が影響力を持っているとするAffected Theoryと、技術的及び特殊なケースにおいてAmicus Briefが役立つとするInformation Theoryがあるとされている。
しかし上記研究に関して、井上氏はCAFCの特許事例のAmicus Briefに対しては、より統計的な分析が必要であると主張する。 というのも、約20年の歴史の中、最近5年でAmicus Briefの半数近くが提出されており、時間軸などの基準を用いてデータを整理する必要があり、またAmici同士のつながり、特に弁護士のネットワークがAmicus Curiaeに及ぼす影響力も考慮する必要があるからである。さらに、米国の特許法においては、議会による立法よりも裁判所による判例の方が、より具体的かつ比較的素早いという現状を考えれば、議会に対するロビーイングよりも効率的に法改正を進める手段となりうるという点も見逃せない考察対象であるという。
また、今後日本の裁判制度へのAmicus Curiae導入については、法形成型訴訟の形式に近い特許訴訟において、可能なのではないかとのことであった。
日時: 2010年12月16日(木) 18:30~20:30
場所: 東京大学先端研知的財産権大部門丸の内分室
(住所:東京駅八重洲側新幹線日本橋口直結のサピアタワー8階)
テーマ: 「著作権制度における市場と公共基盤 - クリエイティブ産業における契約と産業組織に着目しての視点から」
発表者: 後藤和子 氏 (埼玉大学教授)
概 要: 第4回研究会は、埼玉大学の後藤和子教授を講師にお招きして行われた。後藤教授の問題意識は、現在の日本ではクリエイティブ産業界の著作権に関して産業構造と契約の果たす役割を鑑みた議論がなされていない、というものである。
まず、クリエイティブ産業とは「創造」と単調な労働すなわち「流通」との契約による結合であり、「創造」アクターと「流通」アクターへの収益配分は、便益と費用のみならず法や市場、制度が複雑にからみあった相互作用によって決定される。そもそも創作へのインセンティブとは、二次市場の著作権収入が一次市場に還流されることであり、クリエイティブ産業のビジネス・モデルの転換とはこの一次、二次市場の関係の転換を意味する。
ここで、二次市場の著作権を弱めて公共性を高めて流通を促せば、結果的にアーティストの収入が増えるというモデルの非妥当性にふれつつ後藤教授は以下を指摘する。
現状のクリエイティブ産業の構造において、第一に、著作権の収益配分を決定するのは著作権そのものより主に契約や業界慣習であるが、「創造」サイドは契約に関して問題点、改善の余地を多く感じている。第二に、リスクテイカーの存在が不可欠であることから「創造」に対する「流通」の優位性を考慮すべきである一方、「流通」にはゲートキーパー機能という重要な働きもある。
さらに情報の独占と共有という観点から、独占を促す特許権などハードローと共有性を高める契約などソフトローを用いるコモンズの主張を踏まえ、著作権にはハードローとソフトローの両面があるという。
以上より今後は創造へのインセンティブを確保しつつ、創造性を育むコモンズを拡大していく視点から研究が進めば著作権の二面性の解明が進むと結論づけている。すなわち、クリエイティブ産業における著作権制度の研究は法学におけるソフトロー研究と親和性が高いと思われるということである。
日時:9月21日(火)15時30分~18時00分
場所:経団連会館4階401ダイヤモンドルーム
テーマ:「検索エンジン及びネット広告における提携と競争法における課題」
*この研究会は、競争法研究協会が主催し、情報知財研究会とPRIP Tokyo(特定非営利活動法人知的財産研究推進機構)が共催した。
【出席者】
基調講演: パメラ・ジョーンズ・ハーバー 氏
(Fulbright & Jaworski L.L.P.弁護士、元US FTC委員)
モデレータ: 玉井 克哉 氏(東京大学教授、PRIP理事)
パネリスト: 50音順
上杉 秋則氏(一橋大学大学院 国際企業戦略研究科教授、元公正取引委員会事務総長)
斎藤 憲道 氏(同志社大学法学部教授、元パナソニック㈱法務本部顧問)
滝川 敏明 氏(関西大学大学院法務研究科教授)
多田 敏明 氏(日比谷総合法律事務所弁護士)
松下 満雄 氏(東京大学名誉教授、弁護士)
基調講演(パメラ・ジョーンズ・ハーバー)
1.総論
独占禁止法における市場画定においては、形式的アプローチだけでなく、機能的なアプローチが必要である。2008年の米国におけるYahoo Inc.(以下「YI」)とGoogle(「G」)の事例を元に消費者保護の視点からの機能的な市場のアプローチを行う。
2.2つの市場~「データ市場」と「プライバシー市場」
機能的なアプローチをすれば、以下の市場を観念できる。
(1)データ市場
インターネットユーザーのインターネット利用データの持つ価値が増大している。
・インターネット技術がWeb2.0の時代に入り、双方向の情報利用が進む中、ますます、インターネットユーザーの利用データが重要なものとなっている。
・ユーザーからの無償のデータ提供が、経済的価値を持ち、取引の対象となっている。
・ここではネットワーク効果が働き、ある企業の市場支配は有用性を生む一方で、弊害がそれを上回る可能性がある。
・インタレスト広告は、ユーザーデータが価値を持つ好例だが、ユーザーである消費者は、自己のデータが利用されていることを認識していない。
・FTCのGによるダブルクリック社の買収事案において、私は、単なる製品市場という狭いカテゴリーに限定すべきではなく、データ市場という機能的な市場アプローチにより、Gがユーザーデータを取得することで、市場支配力を獲得・維持するとして、これに反対した。
・ネットワーク効果が働くため、一旦市場支配力が獲得されてしまうと、同等のデータへのアクセスがない限り、第三者は市場から排除されてしまう。
・独禁法の規制当局の判断枠組みを与え、調査の範囲を決定するために、初期の市場画定において、データ市場を考えることは有用である。
(2)プライバシー市場
従来は、消費者保護の観点から、プライバシーを保護すべきという視点で扱われていたが、現在では、プライバシーの保護自体も競争の一要素となってきている。
3.2008年のYI-Gの提携
(1)2008年4月に米国において、YIとGは、シンジケーションを含め、YIが2つ以上の検索クエリを併せた場合等YIの検索連動型広告が不足する場合に、Gの広告の提供を受ける提携計画を発表した。GからYIに提供される広告は、YIの広告の約3%程度とされていたが、当時のYIとGのシェアを併せれば、検索連動型広告市場とシンジケーション市場において、それぞれ、90%、95%のシェアを有していた。
(2)この提携は、有効に成立すれば、Gが90%を超えるシェアを有することを可能にするものであり、大きなネットワーク効果を生じさせうるものであった。
(3)5月初めには、司法省は、競争上回復しえない損害が生じる恐れがあるとして、調査を始めた。
(4)提携の効果としては、当初2.5億ドルから4.5億ドルの収益をもたらすもので、これが後に8億ドルに拡大するとの見方もあり、しかも10年間継続する可能性があった。この収益は広告主に対する更なる負担を意味していた。
(5)プライバシーの観点からも問題視され、司法委員会も調査を行った。GがYIのデータも取得することになればプライバシーは保護されない虞があった。
(6)この提携は、Customerの選択肢を制限し、広告主の広告費負担によりYI/Gの収益を増加させ、プライバシー保護の点から問題のある提携であった。また、広告単価についても、当時Gの広告単価はYIに比べ135%高い水準にあったが、この提携により122%程度増加するとの試算もあった。
(7)司法省はこれを問題視し、提携を実行するのであれば、正式な法的アクションを取る旨をYI及びGに伝達し、そのアクションの直前に提携計画は撤回された。司法省の判断の背景には、上記の弊害により良好な競争関係が害され、長期的には、検索連動型広告における投資のインセンティブがなくなり、YIが競争者から協調者になり、シャーマン法1条及び2条に違反するとの判断があった。
4.2008年のYI-Gの提携における市場
(1)上記のYI-Gの提携においても、プライバシーは市場の要素と見るべきである。独占企業が誕生してしまえば、最早プライバシーの保護における競争の必要性がなくなり、プライバシー保護のための投資のインセンティブはなくなる。さらに、プライバシー保護は技術革新市場とも密接な相関を有している。
(2)データ市場の面においても、ユーザーデータが結合され、より価値のあるデータが生成されてしまえば、最早ネットワーク効果により、第三者は排除されてしまう。しかし、これを誰が監視し、実効性を確保するかについては、大きな問題がある。
5.まとめ
Web2.0の時代に入り、データ量の持つ価値は増大しており、データ市場の要素を市場画定に取り入れる必要がある。また、プライバシーベースの市場画定も取り入れる必要がある。
パネルディスカッション
1.前提:検索エンジンと検索連動型広告について(多田先生)
前提事項として、多田先生から、検索エンジンと検索連動型広告の仕組みについて、説明があった(「検索連動型広告の流れ」参照)。説明の中で、一般的説明に加え、以下の点への言及があった。
①広告主にとっては、ユーザーの関心により関連性が決定されるという検索連動型広告の特性により、検索連動型広告が従来のターゲットを超えた販路拡大ツールとして機能しうること
②広告主にとっては、検索エンジン自体のアクセス数、ユーザーの拡大が重要であり、使われる検索エンジンであるほど広告の意味がある。検索エンジン自体にネットワーク効果と自己成長機能(使われる検索エンジンほどより改善されていく)があるため、検索エンジンのシェアが上がるほど、利用者も増え、特定の検索エンジン・検索連動型プラットフォームが利用され、第三者の競争者は排除されることになる。その結果、独占状態となれば、投資研究のインセンティブが損なわれることになる。
③シンジケーションネットワークにおいても同様のことが起きる。
2.パネルディスカッション
(1)市場画定について
松下:申し上げたい点は2点。1つは、公取は検索エンジンの取引はないとしているが、ライセンスや売買の対象になるものとして検索エンジンにも「検索エンジン市場」というものが存在するのではないかという点。技術革新市場の応用ができるのではないか。もう一つは、検索エンジンというものは使えば使う程、情報が蓄積されていき、これによって参入障壁が生じるという点。ただ、情報が蓄積されてより良いものとなっていくこと自体は便益を生み出すものであり、独占による市場の閉鎖性と技術革新における影響とのバランスを考える必要がある。。今回のYJとGのケースについては、将来のR&Dに対するインパクトがあるのではないかと考えている。以上とは別に、検索連動型プラットフォームについては、価格協調が起こらないかという問題がある。
滝川:本件は単純に考えるべき。独禁法上、市場画定というものは製品・サービスと地理的範囲という観点から市場画定するのが通常であり、YJとGは検索連動型広告サービスを提供しているのだから、本件では検索連動型広告配信システム市場が問題になる。検索サービスは無償で提供しているが、検索連動型広告配信システムは、検索エンジンの影響を受けるものであり、両者は密接に関連していると考えられるため、検索エンジン自体も市場として含めて捉える必要があるのではないか。
上杉:1点だけまず明確にしておきたい点がある。公取実務で当事者にクリアランスを出す制度は、企業結合に係る事前相談とそれ以外の事前相談制度に基づく正式な事前相談の2つしかない。その場合、相当な調査の後、正式な回答は文書でなされ、かかる文書による回答が撤回されない限り、問題ないと回答した事案については措置をとれないというクリアランス効果がある。しかし、本件はこのような正式な事前相談への回答ではなく、当事者の主張を前提としたあくまで一般相談に対する回答に過ぎない。
本件では、検索連動型広告市場、シンジケーション市場、その他の個々のサービス市場を考慮することになろう。
(2)本件の提携の影響について
玉井:2008年の米国の事案と異なり、本件ではプラットフォームの共通化も行われている。
齋藤:特に、現在、検索エンジンが持つ経営機能の一つとして、マーケティングやコンサルティング機能があり、これが今後重要となる。検索エンジンを通して、市場調査と同様の機能が期待されている。その分野において、独占企業が誕生し、比較のための選択肢がなくなる影響は大きい。検索連動型広告を形式的にとらえるのでなく、そのような検索連動型広告の果たすコンサルティング機能も含めた影響分析が必要である。技術革新の点では、日本語解析の技術革新が阻害されることを懸念している。
松下:本件は、いわゆる製造を一緒にして、ただ販売を別々にする事例と似ている。しかし、検索エンジンと検索プラットフォームを共通化し、アルゴリズムを共有する点は大きく異なる。広告順位は入札価格とクオリティスコアで決定されるとのことで、ここら辺の話がブラックボックスで、共通化の程度も分からないのだが、クオリティスコアについての情報が共有化され、ブラックボックスが共通化されることで、落札条件が同一となるのであれば問題なのではないか。
また、両社(YJとG社)にファイアーウォールを設けるとしても、具体的にどうやってやるのか、誰が管理するのか、誰がモニターするのか(第三者公的機関が行うのか)という点も問題であり、重要な点である。
滝川:本件では、前述のとおり、検索エンジン市場と検索連動型広告配信システム市場の2つがある。製造・販売という話があったが、製造については、本件市場については製造という行為自体が存在しない。イノベーションとR&Dが市場に直結している。本件提携によってこれらにおける競争に制限がかかるようであれば、価格の問題が生じなくとも、やはり独禁法上問題があると考えるべきである。
また、販売(マーケティング)についても、価格が異なり、顧客データの共通化しないから良い、というものではない。これだけ高度寡占市場でしかも重要部分を共通化すれば、産業組織論の観点からみれば、協調した方が得するのは明らかで、価格が協調的になるのは当然。このような状態が生じる場合は、価格は異なり、たとえカルテルが成立していなくとも、独禁法上違法と考えるべき。
上杉:本件はあくまで競争者間の部分的な提携である。従って、通常は、提携によりコストの重要部分が共通化されたと言えるか、がポイントとなる。提携部分のコストに占める割合より、その他の提携外部分のコストの方が大きいのであれば問題ない。 例えば、車の競争でも、エンジンは重要な要素なのでこれが共通化されるのであれば問題だが、ネジを共同購入するだけであれば問題ない。もっとも、競争の核が何であるかは重要であり、コストの割合だけでなく、その共通化が将来のイノベーションに与える影響を考えることも重要である。
多田:提携による影響の評価は難しいが、検索エンジンの規模の利益の極度の好循環作用による競争者排除効果は検討する必要がある。研究開発意欲については、知財ガイドラインを参照しても公取が重視していることは明らかであり、その著しい減退が認められるのであれば、問題。
YJが少なくとも広告においてはGの競争者であったことは明らかで、提携後に言っているとおり本当にどこまで競争するのか(できるのか)、逆にどこまでを共通化するのか、現時点では全く見えない。
(3)今後どうするべきか~問題解消措置について
多田:検索情報の共有化禁止等の協調性の排除について継続的モニタリングが必要であるが、実効性の確保と担保措置が必要である。企業結合規制のような問題解消措置を検討していくべきではないか。
松下:競争確保の条件については2点ある。1つは、ビッドのオファーが両社で均等になるのではないかという点。入札価格以外のクオリティスコアが重要であると考えており、これを共通化すればオファーが均等になるのではないか。従って、一定限度でクオリティスコアにかかる情報を開示すべきではないか。
2点目は、イノベーションに対する影響。つまり、「市場のダイナミズム」というものをどのようにみるかという点。従来から、ある市場で独占が生じたとしても、これに代わるものがイノベーションによって覆されるということがあり、本件でも、従来の検索市場では閉鎖性が生じたとしても、ツイッターやFacebook等検索の仕方自体が徐々に変化しているという事情も考慮する必要がある。違う形で独占が崩れることもあり、多面的に市場を見る必要がある。
滝川:効率上のメリットは、独禁法上考慮しなければならない要素である。本提携でYJは、他に選択肢がなく、最も効率性がある相手と組んだと主張しているが、これは違うと思う。つまり、YIはMSのBingと一緒になることでより良い検索エンジンとなっているはずであり、YJがそのまま使い続けるという選択肢もあったはず。特に、YJは今まで日本で圧倒的なシェアを有していたのであり、あえて変える必要はなかったのではないか。本件はM&Aに近いもので、実際に本件提携によって競争制限的な状態が生じるのであれば問題解消措置の問題ではなく提携自体を止めるべきである。公取は、事前相談の際に、広告主や競争者であるMS等の話ももっと聞くべきだった。
多田:本件については、非公開の事前相談という限定はあったとしても、情報交換の程度、カスタマイズの形、当事会社以外の見方について、公取はもっと深い調査をするべきだった。本件では既に当事者自らが提携の事実を公開したのだから、公取は、より積極的に関係者から事情聴取等をするべき。
齋藤:公取は定例会見で今後監視していくと発言しているが何を監視していくのか、予見可能性という観点からも明らかにして欲しい。
上杉:本件は、3条前段の問題であるが、支配力だけで違反になるケースではなく、行為自体が良いものか悪いものかを事前に判断しかねるものである。当該行為によって被害を被った、または被りそうな広告主や競争者が市場調査等してデータを集め、公取に申告すべきものである。公取は、監視していくと発言しているが、これはつまりWatchするという意味で、要するに問題が明らかにならない限りは、自らは何もしないという意味である。日常的なControlという意味での監視であれば、そもそも「問題ない」とは回答しない。
多田:問題があれば公取に持ち込め、というのはその通りかもしれないが、外から見ると、一般的な相談に対する回答とはいえ、公取として、一旦「問題がない」と言ってしまったことが、公取が本来必要なアクションを取ることの心理的障害になっているのではないか、を懸念している。
松下:公取の事務総長会見を読む限り、公取としては、「今のところ」は問題がない、とおうことだろう。
滝川:本件は世界でも珍しく検索市場に競争が存在していた日本で発生した重要な事件で、世界への影響も大きい。欧米の規制当局は広い意味での企業結合規制強化の姿勢を示している。公取には、広い意味での企業結合にあたる本件のような事案にもっと人員コストを投入して欲しい。
斎藤:公取には、このような新しい産業分野について、自ら研究テーマに掲げる等、積極的に対応してもらいたい。
日時:6月24日(金)18時30分~21時00分
場所:東京大学先端研知的財産権大部門丸の内分室
講師:塩澤 一洋 氏 (成蹊大学教授)
テーマ:「デジタル環境における著作権法の存在意義」
【概要】
第2回研究会は成蹊大学の塩澤一洋教授をお招きして開催さ
れた。ご報告は「デジタル環境における著作権法の存在意義」というテーマで、著作物の公表に着目した著作権法制について、塩澤教授の論文(「公表支援のフレームワークとしての著作権法の意義」成蹊法学第68.69合併号、235-264頁)をもとに進められた。
まず、従来の多数説である創作へのインセンティブ論に対する違和感が提起された。すなわち、本来著作権法が存在しない場合でも創作する者は創作するのであり、著作権法が創作のインセンティブを与えているのではない、というのが塩澤教授の主張である。
著作権法の目的は文化的所産の多様性の促進・尊重にある。その目的のためには、創作から「使用・利用」されるまでの間に公表することが不可欠となる。そのことから、「公表支援のフレームワーク」としての著作権法が提唱された。著作物を公表することで、多くの人に著作物が行き渡り、更なる創作につながるのであり、著作権法の目的である文化の発展につながるのである。そこで、国民のすべてが創作者になり、容易に公表することが可能なデジタル環境においては、公表を躊躇させないような公表支援のフレームワークとしての著作権法を検討する必要があるというわけである。
今回のご報告では、著作権法の存在意義が、著作権法の目的や特許法との対比・関連性、憲法との関わりといった視点で説明され、デジタル社会における円滑な著作物流通の促進を考えるうえで示唆に富む内容となった。
塩澤教授の熱のこもったご報告の後に行われた参加者との質疑応答も次第に白熱し、終了予定時刻を大幅に超過しての散会となった。
日時:4月16日(金)18時30分~20時30分
場所:東京大学先端研知的財産権大部門丸の内分室
講師:玉井 克哉 氏 (東京大学教授)
テーマ:「著作権法のリフォーム論について」
【概要】
本年度第1回目の研究会は、デジタル時代における著作権法をめぐる議論をテーマとして行われた。これに関して、最近では情報・ネットワーク関係者だけでなく法律専門家の間からも議論が出てきている状況をふまえ、本研究会の幹事でもある東京大学の玉井克
哉教授が「著作権法の『リフォーム』論議をめぐって」というテーマで話題を提供した。 ここで「リフォーム」と呼んでいるものは、「ネットワーク化の進展にともない、著作権法を改正しよう」という動きのことである。取引費用を縮小して著作物の流通を促進するのが、その目的だといえる。このような議論の代表例として1)「ネット法」、2)フェアユース、3)著作権法制の複線化が挙げられる。そもそも著作権法の基本原理として、19世紀末につくられたベルヌ条約では、著作物完成の瞬間、自動的にさまざまな権利が発生するという「無方式主義」がとられている。これは、「円滑な流通」「積極的な利用」を想定したものではなく、今日の状況には合わなくなってきている。
リフォーム論の一つである「ネット法」は、デジタル・コンテンツの流通促進のために「ネット権」なるものを創出して権利処理を簡素化しようとしたものであるが、法律論としても政策論としても問題点を多く抱えている。また、米国の著作権法などに見られるフェアユース規定を日本に導入しようとするリフォーム論もあるが、権利者の利益が不当に侵害されるおそれのあることなどから、米国に倣うのは当を得ないと考えられる。 今後の有力候補としては、著作権法制の複線化が挙げられる。これは、従来の著作権とネット上の権利を分けて取り扱い、後者をさらに「自由利用型コピライト」と「課金保障型コピライト」に分けて権利処理を行うという構想である。現行の著作権法の大枠を変える必要はなく、権利者の志向にマッチした仕組みを整えて自発的な移行を促すというのが基本的な発想である。著作権法制の複線化が妥当であるとして、立法的対応が何について必要なのか、技術革新によって解決すべき課題は何かなど期待については、今後さらなる議論が必要である。
<2009年度>
日時:2010年3月23日(火)18時30分~20時30分
場所:東京大学先端科学技術研究センター知的財産権大部門丸の内分室
テーマ:「知の循環の在り方 学術情報・サービス連携基盤の動向」
報告:曽根原 登 氏 (国立情報学研究所教授)
第5回研究会は、国立情報学研究所の曽根原登先生を講師にお招きして開催された。
今回のご講演は「知の循環の在り方――学術情報・サービス連携基盤の動向――」というテーマで、①情報爆発からサービス爆発へと移行しつつある次世代インターネットの状況、②学術認証フェデレーションの動向、③学術を例とした「知の循環」の在り方、について話題提供がなされた。
まず俎上にのせられたのが、次世代インターネットにおいて重要となる情報の信頼性とリスクの問題である。ここでは、利便性と信用度に対する不安・不信が混在している電子商取引を例に挙げ、電子商取引サイトの利益と安全性を両立させるような社会システム設計の科学的方法論への挑戦例として電子商取引サイトの‘危うさ’推定システムの実装が紹介された。
ご講演中、最も中心的なテーマとなっていたのが「学術認証フェデレーション」という、定められた規程(ポリシー)を信頼しあうことで相互に認証連携を実現し、学術リソースを利用・提供する機関や組織から構成された連合体の動向である。この学術認証フェデレーションは、サービスが分断されている現況をふまえ、ID空間とサービス空間を融合させることで、同一IDで複数のサービスが利用できるようにすることをめざすものである。ここでは、フェデレーションのシステム構成の実態にふれ、これに参加する主体(サービスを利用する大学、サービスを提供する大学その他、フェデレーション)のメリットと利用例が紹介された。
このフェデレーションの世界における動向を見た場合、日本国内のサービスを展開する必要性のあることが最後の論点として挙げられた。ここで紹介されたのが、国立情報学研究所が提起している「情報サービス連携コンソーシアム(仮称)」である。これは、学術認証フェデレーションの仕組みを活用し、産学連携共同研究開発を促進するようなネットワーク型の環境を構築することを目的とするものであり、今後は技術開発や研究教育のための持続的運用モデル開発、アプリケーションサービス技術やコンテンツ技術の開発とビジネス展開などを検討内容として掲げている。
講演後には、大学関係者、企業関係者などさまざまな立場の参加者から、日本国内の「知の循環」に関する問題点が出され、これに取り組んでいくための技術的・教育的・社会的課題に関する議論が熱く交わされた。
日時: 2010年1月7日(木)18:30~20:30
場所: 東京大学先端科学技術研究センター知的財産権大部門丸の内分室
テーマ: 「グーグル・ブックスの意味するもの」
報告: 林 紘一郎 氏(情報セキュリティ大学院大学学長)
報告趣旨:第4回情報知財研究会は、情報セキュリティ大学院大学の林紘一郎学長を講師にお招きし、約40人が出席して開催された。今回のテーマはグーグル・ブックスであり、出版物のネット配信について、世界的視野からみた現状と問題点、その潮流の中での日本の対応が主な論点であった。出版物のデジタル化は時代の流れから当然のことであるが、そこには著作権侵害の問題、ビジネスという視点からの競争と独占禁止法の問題、検索・結果表示の偏りと出版物の価値との関連性の問題、国際標準化の問題など、さまざまな問題が山積していることが指摘された。
特に題材として大きく取り上げられたのが、2004年にグーグルが発表した「図書館プロジェクト」と、それに対して作家協会が提訴した米国の「ブック検索訴訟」である。この訴訟は、米国政府によって修正和解案が提出され現在も進行中であるが、これに呼応するように世界各地で出版物のデジタル化に関する議論が勃発している。このような情勢をふまえたうえで、情報社会のネットワーキングの喫緊の課題としてグローバル・スタンダードの構築が最重要であるという主張で、この講演はしめくくられた。
講演後のディスカッションでは、参加者の専門や立場が多様であったこともあり、グーグル・ブックスの独占的ビジネスやその影響、出版物の将来的あり方等に関して異なった視点から意見が多数出され、長時間にわたる活発な議論が繰り広げられた。林先生の講演とその後のディスカッションをとおして、今回扱われた出版物のデジタル化は利害関係が複雑に絡み合う情報化社会の問題の代表であり、その解決は大きな社会的要請であるが、そのためにはビジネス、法律、学問、出版等さまざまな立場の専門家が議論していく必要のあることが改めて浮き彫りとなった。
日時:平成21年11月5日(木)18:30~20:30 
会場:東京大学先端科学技術研究センター知的財産権大部門丸の内分室
テーマ:「位置情報技術とプライバシー」
報告:松前 恵環 氏(東京大学大学院情報学環 助教)
報告趣旨:我々は今日、携帯電話などから“GPS”を通じて位置情報を送信し、また、公道において“監視カメラ”で常時撮影され、能動的あるいは受動的に、見知らぬ誰かに位置情報を提供している。このように、個人のプライバシーを取り巻く環境は一変しつつある。しかも、近年の情報技術の発展により、インターネットという仮想空間を介して集積された位置情報が現実空間の他の情報を組み合わされ利用される、といったユビキタスネット社会の到来が現実味を帯びてきた。
このような現状にかんがみ、このたびの研究会においては、“情報”という観点から“プライバシー”論に新たな視座を提供しようと試みられている松前恵環氏から、「位置情報技術とプライバシー」というテーマにつき、日米のプライバシーに関する条文・判例法理を踏まえつつ、犯罪捜査目的のGPS利用など、具体例をまじえながら説明していただいた。
特に、人間の目視による監視によって対象物の位置を①不正確さを残しつつ②断片的に③事後的に把握していたのとは異なり、対象物の位置を①正確に②継続的にかつ③リアルタイムに把握する、というGPSの特性〔追跡(トラッキング)〕を踏まえ、GPSを通じた位置情報については、たとえそれが公的な場所における位置情報であっても、プライバシーの保護に対する合理的な期待が存在しうることに触れられた。そして、第一に、潜在的にセンシティブな位置情報を今後どのように取り扱うべきか、第二に、公共の場におけるプライバシーについてこれまで以上に精緻に検討すべき必要があるのではないか、第三に、位置情報の「有用性」とプライバシー保護とのバランスをとる必要があるのではないか、また、どのようなバランスをとるべきか、という3点を議論する必要がある、と問題提起された。
報告終了後は、研究会ご参加の様々な立場の方々を交えた、活発な質疑応答がなされ、終了予定時刻を超過しての散会となった。
第2回研究会報告
日時:平成21年7月16日(木)18:30~20:30
会場:東京大学先端科学技術研究センター知的財産権大部門丸の内分室
テーマ:「オープン・イノベーションと相互運用性―マイクロソフトの取り組みと課題」
報告:楠 正憲 氏(マイクロソフト㈱ 法務・政策企画統括本部技術標準部部長)
報告趣旨:1970年代からの情報通信技術の変遷について、IP(Internet Protocol)以前の世界と、その後のIPによる事業構造の転換や、IPによるオープン化の恩恵について解説していただくとともに、マイクロソフトの標準化戦略、相互運用性の基盤強化について具体例をまじえながら詳細に説明していただいた。
報告終了後は、活発な質疑応答がなされ、終了予定時刻を一時間ほどオーバーしての散会となった。
第1回研究会報告
日時:平成21年5月27日(水)18:30~20:30
会場:東京大学先端科学技術研究センター知的財産権大部門丸の内分室
テーマ:「NHKオンデマンドをめぐる権利確保の実際と課題」
報告:石井 亮平氏(日本放送協会 著作権・契約部)
報告趣旨:NHKで、著作権に関する契約実務を担当されている石井亮平氏を講師にお招きして、昨年12月に開始されたNHKオンデマンド(NHKが放送した番組のネット配信サービス)のサービス内容について、実際にオンラインで画面を映し出しながら具体的に説明していただいた。さらに、放送番組に関係する権利者の権利内容や、放送番組を活用するための契約(許諾)類型についても詳細に解説していただいた。
報告終了後、参加者からの多くの質問が寄せられ、講師との間で活発な意見交換が行われた。
<2008年度>
第5回研究会報告
日時:平成21年3月11日(木)18:00~20:00
会場:東京大学先端科学技術研究センター知的財産権大部門丸の内分室
テーマ:「情報通信技術の進展と音楽著作権」
報告:菅原 瑞夫氏(社団法人日本音楽著作権協会 常務理事)
報告趣旨: デジタル化・ネットワーク化された音楽著作物の流通動向について説明がなされた後、音楽著作物に係わる権利処理実務の現状について詳細な解説が行われた。
また、著作物の新たな流通に際しての今後の課題として、権利情報の整備・共有化や、許諾・分配システムの整備といった具体策推進の重要性が指摘された。
報告終了後、参加者からの多くの質問が寄せられ、活発な討論が展開された。
第4回研究会報告
第4回情報知財研究会は、東京大学先端科学技術研究センター、
NPO法人知的財産研究推進機構との共催で行われました。
日時:2009年2月6日(金)13:00~18:10
会場:国際文化会館(東京都港区六本木5-11-16)
テーマ:「ICT社会の近未来 ~産官学の対話と協調~」
詳しい情報については、ここをクリックして下さい。
報告趣旨:電子商取引、電子政府、IT医療・IT教育といった、社会における情報媒体が、紙媒体から電子媒体へと急速に移りつつある現在、社会的弱者の増加、著作権問題などといった、過去には想像しえなかった多くの問題が、従来の法整備では追いつかない速さでICT社会をとりまきつつある。今回の研究会では、これらの問題を含めICTがもたらす未来社会に関して、「対話と協調」をテーマとして実施された。産学官を代表する国内の講演者及びパネリストに加え、ICT 社会の構築に急速に取り組んできた海外(エストニア・英国)からも、直接及びオンライン参加形式による意見交換を実施した。
セッション1では、ICT社会に求められる法制度と国家戦略に関して、日本とエストニアを比較しながら、現状報告と求められる解決策に関して意見の交換がなされた。セッション2では、今後社会に求められるICT先端技術に関して、国際的な視点から議論が展開された。
今回の研究会では終始、ICT社会の未来像に関して国内外で多くの共通点が見られ、改めて、ICT社会の発展には国際的な連携及び協調が非常に重要である事が確認された。

第3回研究会報告
日時:平成21年2月5日(木)18:00~20:00
会場:東京大学先端科学技術研究センター知的財産権大部門丸の内分室
テーマ:「コンテンツ産業政策と知財政策の交差点」
報告:境真良氏(早稲田大学大学院国際情報通信研究科客員准教授)
報告趣旨:コンテンツ産業の構造に関する話(三層構造論)にはじまり、今後の知財政策(主に著作権分野)のあり方とその限界、コンテンツ産業政策の今後の可能性といったテーマについて解説がなされた後、参加者との間で活発なディスカッションが行われた。

日時:平成20年10月1日(水)19:00~21:00
会場:六本木アカデミーヒルズ49・カンファレンスルーム1+2
テーマ:「合衆国最高裁と連邦巡回区控訴裁判所――アメリカ特許法の最近の発
展をめぐって」
報告:玉井克哉氏(東京大学教授)
報告趣旨:アメリカの裁判所組織の現状および裁判官の日常の仕事ぶりといった基本的な解説からはじまり、コンピュータソフトなど情報通信分野に関連する最近のアメリカ特許法の判例が紹介され、さらに特許法の保護範囲の変動についての解説がなされた。
日時:平成20年5月20日(火)16:00~18:00
会場:東京大学先端科学技術研究センター知的財産権大部門丸の内分室
テーマ:「デジタルネットワーク社会における著作物の教育利用に関する課題の検討」
報告:井上理穂子(国立情報学研究所)
報告趣旨:著作権法第35条は、特定の要件を満たせば、著作権者に無許諾・無料で他人の著作物を教育利用できる旨を規定する。従来の教室におけるface to faceの紙媒体を利用した教育においては、第35条の規定で問題は生じていなかった。しかし、情報技術の発展により、教材はデジタル化され、教育方法自体もネットワークを介した形態となり、従来の第35条の想定の範囲外の事態が生じ、早急に対応が必要な課題となっている。
本発表では、この課題について具体的に述べ、必要な法改正、政策について検討をした。