( 財 ) 情 報 通 信 学 会   関 西 支 部        第 7 回 支 部 大 会 ・ シ ン ポ ジ ウ ム        と き:平成12年11月27日(月)14:30?17:00       ところ:NTT西日本 ソリューション・ラボ メインホール             (財)情報通信学会 関西支部              第7回支部大会・シンポジウム テーマ      「IT革命と消費生活―eコマースとビジネスモデル―」 コーディネーター 小牧省三(大阪大学大学院 工学研究科教授) パネリスト    菅原光宏(株式会社NTTドコモ関西 代表取締役副社長                   モバイルマルチメディア開発本部長)          小尾富士夫(エンゼル証券株式会社 ネットビジネスストラテジスト)          釜野真宏(ジェット証券株式会社代表取締役社長)          岡本勝彦(阪急電鉄株式会社流通事業本部 流通営業第一部調査役)          藤田晶子(京都リビング新聞社編集長)  小牧 今日のテーマは「IT革命と消費生活」、副題が「eコマースとビジネスモデル」となっております。開始に先立ち、シンポジウムの目的と進め方を簡単に説明させていただきます。  現在、IT革命という言葉が非常に重要なキーワードとして世の中に流通しておりますが、その中でビジネス・ビジネス間すなわちB to Bといわれております企業間決済の電子化については、ほぼ立ち上がってきております。それに対し、ビジネス・コンシュマ間すなわちB to Cと言われる消費者と企業の間の電子化、情報化に関しては、現在は、まだまだの感じがありますが、今後は重要な要素となると考えられています。このシンポジウムではB to C の分野に焦点を当てて、技術、サービス提供者、金融面、物流面、消費者サイドの専門の方をお招きして、現状と将来を議論するということで進めさせていただきます。  まず、講師の紹介をさせていただきます。1番目がNTTドコモ関西の菅原光宏様です。技術的側面からのお話をしていただきます。2番目がエンゼル証券株式会社の小尾富士夫様。サービス提供者と言う観点でのお話をしていただきます。3番目がジェット証券の釜野真宏様。金融的側面でのお話をしていただきます4番目が阪急電鉄株式会社の岡本勝彦様で、物流・流通面からのお話をしていただきます。5番目が、株式会社京都リビング新聞社の藤田晶子様です。消費者サイドに立ったお話をしていただきます。  それでは最初に、それぞれの分野からEコマースとビジネスモデルに関し、簡単に説明をいただき、皆様の講演が終わったところでディスカッションに入りたいと思います。その後、聴講の方々からのコメント質問等をお受けしたいと考えております。  菅原 それでは、技術サイドからということでございますが、私の方から導入部分について少しお話させていただきたいと思います。  Eコマースの進展ということで、B to B、B to Cの現状と動向をお話させていただきます。B to Bは従来からあった特定企業間の通信がインターネットに置き換わるということで、非常に発展しております。B to Cは、既に皆様ご承知のことだと思いますが、アメリカの株取引、中古車、あるいは車の取引で随分普及しており、コスト圧縮と言う観点が普及の原動力となっています。例えば株件取引等では店頭取引の10分の1とか20分の1のコストになっているものと想定されます。B to Bの市場規模ならびに全体に対するEコマースの比率を日米の比較をして図1に示します。この図の金額規模で見ますと日本は米国の大体3分の1程度になっていますが、比率から見る限り、日本はアメリカに対し1年程度しか遅れておらず、B to Bに関しては、日本もそれ程遅れているわけではないと言えるかと思います。  一方、B to Cについては、図2に示すように日米間でかなり大きなギャップがあり、残念ながらアメリカに5年遅れているということになっております。比率で見ると日本の0.97%という数字に対しアメリカは3.2%なっております。1999年の市場規模でいいますと、日本はB to Cに焦点を当てますと、電子商取引実証推進協議会の数字では3,360億円であり、全家計消費規模の0.1%になっています。アメリカでは既に1%、5年後には3.2%、日本は0.97%ですから、日本は今後5年で10倍近くまで伸びると予想されてはいますが、まだまだ日米のギャップは拡大するだろうと思われます。ギャップの主なる要因はインターネット利用率の差を反映しているというふうに言われております。日本で一番取引の多いのはPC関連で、3.6%それから、自動車0.9%、書籍・CD0.3%、不動産、金融が0.2%、旅行0.15%といったような順番になっています。 ********************図1 B to B 市場における日米比較************* ********************図2 B to C 市場における日米比較*************  クレジットも一種の電子商取引の中の決済手段の1つだというふうに判断いたしますと、平成10年では20兆円という取引金額にのぼっています。それだけの取引規模があるということは、ネットワークで注文して、ネットワークでクレジット決済という事になれば、すぐにこれだけの規模に膨れ上がるということになるかもしれません。全てがコンシューマなのかということでは疑問な点もありますが、コンシューマレベルで考えれば、これの10分の1ぐらいは必ず普及するだろうというふうに想定してもよろしいのではないかなと考えております。  ところで、私どもは移動通信事業者ですので、モバイル・コマース、別の名前ではmコマースとも言っておりますが、これに関して述べます。ジュピターリサーチから最近出されたモバイル・コマースの市場予測にもとづきますと、2003年のモバイル・コマースの市場規模は世界で8,000億円ですから、まだまだ小さな額です。しかし、これに関しては日本が先行し米国を抜いてトップであると言われており、3,800億円を占めています。本年12月には、日本は3,900億円の市場になるであろうというふうに言われております。  mコマースで特徴的なものとしては、広告、ショッピングにならんでコンテンツをお金を出して買うという有料コンテンツが1つのビジネスモデルになっています。日本の場合ですと私どもで提供しておりますiモードとか、あるいはEZWebとかJスカイといったインターネット接続型のサービスで、かなり世界を先行しているというふうに評価されております。アメリカに遅れること1年のB to B、5年のB to Cに比べますと、mコマースはアメリカの先を行くこと2年という評価でございますので、現在、日本が唯一世界に誇れ、今後も世界をリードしていく分野であろうというふうに想定しています。  日本における成功に対して、日本の文化的特殊性を挙げる人もいるにはいるのですが、日本のパターンをそのまま欧米でもまねれば、それほど難しくはないというようなことが言われております。金額、規模、その他諸々の課題がありますけれども、技術的な課題ではなく、キャリアが消費者のニーズ、多様なサービスを提供できるか否かが鍵になっていると考えられます。  この図はインターネットの利用分野を各企業からアンケートした結果ですが、営業とか宣伝にインターネットを利用するというのは、これは当たり前の社会でございますので、実施中というのが相当な数に上っています。今後、インターネットの活用を検討していると言う中では、B to B取引の割合が比較的多く、インターネット利用型のITの進展は今後とも期待できると考えられます。B to C販売に関しては当面活用計画なしというのが意外と多くなっています。これは企業対象のアンケートですので売るサイドとしての問題と考えられます。B to C取引、予定なしというところが意外と多いものですから、今後もB to Cがアメリカにおくれることは当たり前だなという感じがします。一方、消費者の方もセキュリティーに対する不安を十分ぬぐい切れないというのが現状ではないかと思われます。  この表は、各種の決済手段とセキュリティ対策の関係を示しています。これは、e-コマース実現上どうしても避けて通れないところで、セキュリティー対策としては、なりすまし対策、電子証明書が必要になっています。認証局を設けて、きちんと認証コードを発行して、「私は菅原光宏です」というネットワーク上での認証をした上で取引を成立させるという方法があります。また、盗聴というものへの対策も必要となります。この目的のためには、暗号化というものが施されており、128ビットの暗号化がインターネット上ではなされておりますし、電波の上でもさらに暗号化が行われています。GSMとか日本のPDCのようなセキュリティーの高い移動通信では全く問題が無いと考えられます。  決済方法については、ローテクからハイテクまでいろいろ存在しています。現金振り込みすなわち電子注文をして現金振り込みをして、現金が届いたら物を送るよという、いわゆる我々が売り主を信用するパターンもあるでしょうし、売り主が買い主を信用するパターンもいろいろとあります。プリペイド、クレジット、回収代行、それから新しいジャンルとして電子クレジットもあります。既にいろんなサービスのパターンがあり、例えばiモードなどでは通話料に料金を重畳するという形で、保有するクレジットカードあるいは預金口座をiモードに事前登録しておいて、通信料に重畳して代金を代行徴収し、それを通信事業者から売り主にお支払いするというようなものになっています。また、日本で最近、それも大阪ですが、口座引き落とし型あるいは現金、クレジットなどで、ネットワーク上にプリペイドの財布を作ってしまい、その範囲内で取引を行う方法が始まっています。2万円しかなければ2万円以上の取引はその時点で行えないという安全な方式であり、クレジットの番号が盗まれたり、あるいは不要なお金が口座から引き落とされることはまずないと言ってよろしいかと思います。  今年の5月にドイツでペーボックスという決済を仲介する会社がスタートしております。まだベンチャーですから余り大きくはないんですけれど、ドイツ銀行から出資を受けているということで大変信頼性が高く、どんどんお客さんも増加してるようです。インターネットに登録した店舗から物を買う。そしてそれを通知する。例えば、ドイツ銀行に「菅原光宏の口座から高島屋に1万5,000円振り込め」という命令を出すというような形になるわけです。そうするとペーボックスがいろんな決済の仲介をしてくれるという仕組みでありまして、日本に比べて規制が大変緩いようで、株式会社のスタイルでベンチャーが発足しているようです。大阪にありますキャピオンも同様で、郵便貯金の口座を使っているようです。  先ほど日本のモバイル・コマース市場が2000年末で3,800億円と申しましたけれども、今iモードで月平均27億円のコンテンツ料が流れております。これはコンテンツに限ったお金でございます。実際には株の取引その他が既に行われておりますので、その取引手数料なるものも別途流れてるはずでございまして、実際にはもう少し金額的には大きくなるのかなという感じであります。iモード端末は既に1,400万台という数字になっており、2000年9月でドコモサイトと言われているものが、1,140サイト、フリーサイトも2万5千以上に上り、急激に増加しています。これらの中で、サイト数は余り多くはありませんが一番アクティビティの高いのが、株取引のサイトです。登録サイトの件数はOUIサーチというところの登録サイトの件数ですので、実際には13万から14万、あるいはそれ以上あるだろうというふうに言われております。iモードで買い物をしたという内訳を見ると、着メロ・音楽、画像・動画、情報、ゲームが主体を占めており、物販になりますとチケット、書籍、それからCD・ビデオといったものがありますが、件数ではこれよりも低い値になっています。  課金方法はコンテンツ課金モデル、料金代行徴収モデルで、各携帯電話事業者がユーザーからコンテンツ料、通話料とを同時に徴収しコンテンツ・プロバイダーにお支払いするというパターンです。また、決済仲介モデルで、キャピオンの例がありますが、この場合は、キャピオンさんの中に仮想の、いわゆるサイバー・キャッシュボックスがあります。ここに申し込んで、「はい、2万円入れといて」って私なら私が注文するわけですね。するとキャピオンさんが2万円をユーザーの郵便貯金口座から引き落として入れておきます。それで取引が成立して、「はい、支払って」ということになりますと、この契約業者さんのキャッシュボックスに仮想的に電子マネーが振り込まれます。そして、最終的に取引が完了するとまとめて、契約業者の郵便貯金口座にお金が振り込まれるという形です。  携帯端末の多目的な利用法がどんどん進んでおります。これは世界で一番進んでいるカード認証の端末です。これはクレジットカードあるいはデビットカードでも同様ですがカードの決済端末として携帯電話を使おうというものであります。ICメモリが私の携帯電話だということを示す以外に、個人的な認証としてのICメモリとして搭載され、私が身につけているクレジットカードから、バンクカードから、免許証から、果ては現金までこの携帯電話の中に登録することができるようになるものと考えています。そうなりますと、データは常にシームレスにどこへでも流すことが可能になりますので、決済もたちどころにできることになります。私は、今、銀行カード、クレジットカードが2枚、身分証明書、資格証、運転免許証、ハイウェーカード、メンバーズカードを持っています。これだけよく持って歩いてるものだなと思うんですが、それが1つの携帯電話に入ったときにどう世の中が変わっていくかということです。それを変えるキーのひとつがこのブルートゥースという非常に小さい無線トランシーバーでございます。これはエリクソン社のモデルで、3cm×1.5cmの大きさで厚さ3.5mmというものですが、これがさらに小さくなり、これから携帯電話の中に入っていくでしょう。  最後に、朝日新聞の10月31日版に載った写真をご紹介します。「携帯が変える暮らし」というテーマの記事であり、携帯電話が今いる場所から安売り情報とか何かを検索し、即予約、財布がわりに支払いをするといったものです。自販機ににもつながっており、携帯電話で缶ジュースが買えます。Eコマースがインターネットの発展でどんどん進んでゆき、それとともに日本ではモバイル・コマースがどんどん発展していくだろうということで、導入部分としての技術分野のプレゼンテーションを終わらせていただきます。  小牧 ありがとうございました。それでは、2番目の小尾富士夫さんからプレゼンテーションをいただきたいと思います。  小尾 私は、95年からずっとECというのをB to Bの観点から携わってきました。私の今までやってきた経験から、現状のB to Cの状況というものがどんなものかというのを、皆様方と一緒に考える土台をつくりたいと思います。  このころの季節になるとアメリカでのクリスマス商戦を思い出します。これがブレークしたのが、3年前、すなわち1998年ですので、今年のクリスマスでアメリカはインターネットビジネスのスタートから3回目のクリスマスを迎えることになります。アメリカでは、98年のクリスマスにサーバーがどんどんダウンする事態が発生し、99年にはそれらのシステムを構築し直すということになり、この1年間でアメリカのB to Cはかなり進歩したというように私は感じております。一方、日本では、今年に至ってもまだクリスマスにサーバーがダウンするかもしれないとか、大量の回線を用意しなければいけないとかというような問題は発生していないと思われます。  98年の頃のアメリカより、現時点の日本の方が相当技術的に進んでいます。セキュリティーの部分などははるかに進んでいます。しかし、日本の方でまだB to Cでの盛り上がりというのがそれほど見られないし、現時点でそういう販売というものに関しての成功事例というものも見えてきていません。  ただし、最近ユニクロさんがウェブ上で販売を開始しましたらサーバーが混み合ったようでかなりの話題になったとのことです。この世代、若い我々から40代ぐらいの人たちは、インターネットを相当に利用し始めているのだろうと予想されます。では、これによって売り上げがどれだけ伸びているかということについてはまだスタートしたばかりですから十分把握できませんが、この世代には大きなニーズがあるだろうと思われます。1年ほど前からASPという言葉が使われ、このようなサービスがいろいろと進歩してきていますが、この1年で見る限り、まだまだ日本では技術的な議論が中心になっています。日本でB to Cが立ち上がるためには技術面ではなく、「実際にどのようにやったらインターネットで物を売れるんだろうか」、という議論が非常に不足してるんじゃないかというように感じております。  この図は、アメリカにおける過去からのe-コマースの流れを示しています。97年以前にコンテンツ・ヤフーと書いていますが、物の売り買いという以前のコンテンツの配信、要するに情報で料金を得るというものです。セルサイト・ソリューションという形でIBM社などがモールを仕掛けたりした時代があったというのは皆さんも多分ご存じだと思いますが、あまり発展をしていません。これに対し、97年以降はバイサイト・ソリューションという方向での展開が見られます。B to Bがなぜこれほど日本で普及したかというと、セルサイト・ソリューションに対し、物を買うというバイサイト・ソリューションということが企業のコストダウンに貢献するということに起因していると考えられます。我々が議論したいと思っているB to Cの発展に関してはどういうメリットが実際に消費者の方々にあるのかという問題を解決できるか否かに関わっています。  ECを考えるときに、私は「守りのEC」と「攻めのEC」という観点で分類することができます。「守りのEC」というのは、無理・無駄を省いて効率的な経営による利益の確保を図ることを意味しています。すなわち、売り上げは増えないが、効率化により利益を上げるということを意味します。この部分がB to Bの効果の一番大きな部分だと思います。実際に物を売るというよりも資材調達という形で無理・無駄を省いてコストを下げて競争力を上げることです。守りのEC、ERPシステムの連動とか、業務フローの見直しとか、電子化された文書の共有化とか、B to Bの場合には何らかの形で目に見えるようなメリットというのを享受することができますし、それを目的として実際にB to Bというものが活用されています。  一方、「攻めのEC」というものは顧客を増やし売り上げを伸ばすということによって利益を確保することです。先ほどセルサイト・ソリューションとバイサイト・ソリューションに関してお話しましたけれども、この売るということ、要するに顧客をふやすという攻めの部分、こちらの方がやはりECの中では非常に難しい分野だと思います。  97年頃、これからのECということで、ECだったら物がどんどん売れるだろうというのが、実際には物が売れず、一度しぼんだ時期があります。実際に売るためには、そのホームページなどを購買者に知らしめなければいけないし、それによって皆さん方に利用してもらわなければいけないしということで、それに必要な段取りや手順が非常に重要であるということになります。実際に売れるようなシステム会社を我々サイドの方で創っていかなければならないというのが、最近の動きとして出てきています。  私はエンゼル証券という会社におりますが、エンゼル証券は証券会社というよりもベンチャー育成、エンド・ツー・エンドまでのベンチャー支援というふうに私は考えています。企業育成から公開した後の株の売買までやってしまうというもので、我々としても一緒になってB to Cの普及に関して健闘しております。例えばこのEシティという会社は私どもの方で出資している会社ですけれども、今何をやらなければいけないかというマニュアルづくりという中で、オンライン・ショッピングの開設ガイドというのを作成しています。やはりシステムの会社ですと、この間までは、カウント機能をどのようにし、セキュリティーがどうのという、どちらかというと機能を競い合うような形で競争し、ユーザーの方々にシステムの販売をしてきましたが、どう考えても機能だけを争ったところで意味がないということになりました。私どものEシティというものも、機能だけではIBMとかユニシスとかそういう大きな会社との競争になります。だったら、もうプロレスラーとプロレスラーでぶつかってもしようがないので、我々はヤワラちゃんになろうということで、それを使ったときにどういうふうな形でお客様が使うのか、またユーザーサイドの方にどういうものを提供すればみんなが満足できるのかという部分のマニュアルの充実を図っています。  この部分に関しては、楽天市場が公開し、数百億のお金を手に入れたときに、何らかの起爆剤になって、それらが当然B to Cを引っ張ってくれるというふうに期待してこの1年を見てたんですけれども、それほど実際には増えていないようです。楽天市場自体は場所貸しという形ですので、この場所貸しというのはあくまでも物を売ってお金をもうけたわけではなくて、ただ単に場所を貸したということです。借りたいというお客さんはかなり増えているけれども、その中でやめたいというお客さんも増えてきているという新聞記事を見まして、これではECって売れないんじゃないのというようなことになってしまうんじゃないかと危惧しています。現在、私どものEシティで力を入れてるのは、こういうオンラインショッピング開設ガイドという形で、まず使う側の方々にもう一度このECというのは一体どういうものなのかということを理解してもらうようなものを作っています。より多くの人に見てもらうためにはどうするかとか、こういう形で店舗の宣伝をするとか、そういう具体例を出してマニュアルを作っております。楽天市場においても教育という形で、ある程度はやっていますけれど、まだまだ、どちらかというとそのシステムに偏った形のものだと思われます。  私どもがEシティでもやってるのは、完全にそのEシティのシステムに特化したものではなくて、一般的などんなシステムを使おうとも、インターネットではこういうことが起こるんだよということを説明して、実際に使う人の身に立ってマニュアルをつくっていくということを今進めております。我々の場合にはショップのオーナーがサービス側といいますかお客様という形になりますので、このようなやり方になっていますが、本来のユーザーの方々、パソコン等で見て買う人たち、こういう人たちに対してどのようなアプローチをしていかなければならないのかというのが、次の課題であり、今度はこのマニュアルを作成していきます。  私の方からのプレゼンテーションは、概略こんな感じで終わらせていただきます。残された時間では、なぜアメリカでセキュリティーもまだ貧弱だった時代、まだECが普及してない中でアマゾン・ドット・コムのような、いろいろなB to Cという企業が出てきたのか、日本で、なぜ楽天市場などの場所貸しの会社が非常に注目されていて、実際に物を売る会社が注目されてないのかというようなところを、皆様方と討論できればと思っております。 小牧 どうもありがとうございました。それでは次に、ジェット証券の釜野さんに講演をいただきます。 釜野 まだジェット証券という名前を知らない方もおられるかと思いますので簡単に紹介をしておきます。我々の証券会社は去年の9月に設立しまして、この3月末から営業開始し、まだ営業開始して8カ月の若い会社でございます。やっている業務はオンライン証券ということで、インターネットを通じた株取引の仲介を行っております。従来から注目されていたオンライン取引ですが、アメリカの状況と比べますと日本はまだ伸びる余地があると思っております。オンライン取引口座の数は今年8月末現在、約130万口座ですが、大和総研の予測では2001年度末には倍の260万口座から270口座に増えるだろうと見られています。一方でアメリカでは既に1,600万口座と、桁が違っていまして、この分野に関して日本は5年ほど遅れていると思われます。  アメリカと日本では金融の状況が違っています。例えば証券手数料の自由化。アメリカでは70年代から始まっているのに対し、日本ではようやく昨年10月から解禁されたばかりで、それまでは規制にのっとった手数料だけしかなかったのが、従来の10分の1から20分の1の手数料で扱えるようになりました。それから株の投資。日本では401Kという制度が発足します。これは、それぞれの年金をたとえば株に3割投資する、債権に5割投資するといったように自分で商品を選んで運用することができる制度です。これまでですと企業や国まかせで、なかなか自分で判断して投資するという土壌はなかった。一方アメリカでは90年代、株が好調だったこともあり個人の株に投資するウェイトが非常に上がりました。このように日本とアメリカでは状況がまるで違うわけですが、しかし逆に言えばそれだけ日本は今後大いに伸びる余地があると思っています。  現状のオンライン取引の段階ですが、現在の130万口座というのは、今まで株取引をしていた人が手数料が安いので移ってきた層だろうと思います。これから口座数が増えていくとすると、今まで株取引していなかった層、たとえば30代女性の方が、先ほどの401Kもあって充分な年金をもらえないので、長期的な資産形成を考える必要が生じてオンライン取引の世界に入ってくるのではと考えられます。実際当社の客層も一番多いのは30代で、その次が40代と20代です。一方証券会社の店頭ではもう少し年齢層が高く、50代から60代が中心で、それもほとんど男性ではないかと思います。やはりインターネットの株取引では女性の比率が、当社では2割、30代では3割です。将来的なことを考えて投資する層が増えてきています。  株の投資の場合、決済の分が非常に大きな金額が動きます。証券会社としてはやり方がふたつありますが、当社の場合は事前に振り込んで前金の形でいただくことにしています。もうひとつ信用取引というのもありまして、これはお客さんの資産状態に合わせて与信を与えるというかたちになるんですが、いずれにしてもある程度の枠というか、事前チェックをかけることになり、この辺の決済に関してはまだ昔のやり方をひきずっているという所です。  このあたりでシステマティックに、たとえば振り込みをしたら自動的にリアルタイムで口座に反映させるということは、当社ではまだ完全にはできておりませんが、足りない部分は銀行からすぐに引き落としができるシステムも除々に開発されつつあります。そういう意味では利便性は日々高まっています。ただ当社でも困っているのは、郵便局を使いたいと言う方が多いのですが、これがなかなか簡単には自動化できません。結局FAXで連絡が来て処理をするという手作業が入ります。都会に住んでいる方は郵便局じゃなくてもいいんですけれど、やっぱり郵便局を使うという方が多くて、このあたりがもう少し改善しないとコストアップ要因になるなというのが現状でございます。  それから、現状そういった若い方が流れてきているわけなんですけれども、多分、証券市場でそういった新しい顧客が入ってくると、金融市場というのもかなり変わるというふうに思っています。  1つ目は、今後、個人投資家数がかなりふえてくる。日本では特に企業間の株の持ち合いというのはこれから解消されていくという中で、企業の方々にも個人投資家をふやしたいという強いニーズがあるというふうに考えられております。オンラインでの取引というのはそういった個人投資家をふやすという面で、日本の世の中にもかなり影響を与えるのでないかというふうに思っております。  2つ目は、インターネットを通じた株取引は簡単に取引できますので、1日の中で何回も取引をするいわゆるデイトレーダーというような方々が出てきます。なかなかデイトレードでもうけるというのは難しくて、株はやはり長期投資というのが一番というふうに考えておりますが、できてしまえばやってしまう人がでてきます。特にインターネットですと、どうしてもゲーム感覚になる方もおられ、本当に株価が1円動いたらそれで売買することもありえます。手数料が下がったので、数%動けばそれでももうかるという状況になっていますので、そういった人がふえています。今、ナスダックがかなり乱高下したりしているのも、恐らくこういった方々のお金の影響が大きいのだろうと思います。長期的には個人投資家がふえるということは非常にいいことだと思うんですけれども、相場を乱高下させるという、ある意味ではマイナスということも出てくるかなというふうに思っています。  現状のオンライン証券は、幾つかのタイプに分かれております。証券のサービスというのはそもそも非常に単純で、注文を場につないで、それを返すというのが基本になっています。これが一番シンプルな機能で、これに情報を提供するという機能が付加されています。それから、2番目がコンサルティング業務で、これから力を入れようとしていますけれども、コンサルティングをするにはどうしても人が必要になり、簡単にはインターネットに置き換えるというふうにはいかない部分です。3番目は情報提供。これはインターネットを使って、ほとんどコストもゼロに近づけていくということが可能な部分だと思います。これは本当にインフラということですので、もうここでお金をたくさん取るというのは無理なことではないかと思われます。従来コンサルティングという機能がクリアに分けられていなかったのですが、これからは多分コンサルティングという部分は費用を取っていくことになり、売買の執行については安くなっていくと思われます。それから、情報提供については、余りお金を取れないだろうというふうに考えておりまして、こういった形で機能分担していくのじゃないかなと思っております。 とりあえず以上でお話を終えさせていただきます。 小牧 どうもありがとうございました。お話を伺い、インターネット上で証券取引絡みについてはe-コマースのモデルも割合はっきりしてきてるような感じを受けました。  それでは、阪急電鉄の岡本さんにご講演をお願いします。物流絡みと、駅店舗活用形サービスということで、お話をいただきます。 岡本 物流の話をということでございますが、鉄道会社ですので、ご乗客を電車でお運びするのは得意なんですけども、トラックで本を運ぶのは余り得意じゃないんですが、少し物流のところに工夫をしたようなネット通販というのを鉄道会社というところでやらせていただいていますので、そのあたりの内容を説明しまして、何かヒントを得ていただければということにさせていただきたいというふうに思っております。 ********************図3「おとりおき」サービスの概要*******************  弊社の方では、図3に示します「おとりおき」というサイトを立ち上げておりまして、書籍、CD、DVDといったような、いわゆる記号商品と呼ばれている、タイトルを見れば中身は均一の品質である商品の販売をやらせていただいています。それを始めました経緯からご説明します。阪急電鉄は鉄道会社ですが、駅の中に「ブックファースト」という屋号で書店事業というのを4?5年ほど前から展開しております。基本的にはコンビニ書店というコンセプトが合っているかと思いますが、駅構内にあって、非常に早い時間から遅い時間まで、ある程度の品ぞろえのものがそろうという位置づけでした。それが、現時点では駅という場所から離れまして、書店事業というのを1つの事業の核にしていこうということで、普通の書店さんのような形の店舗として13店舗ほどに店舗展開してきました。その中で、東京にブックファーストの渋谷店を一昨年6月に出店しました。実は私は、この店舗の立ち上げに携わりましたので、930坪、在庫70万点の大型の書店ならではというようなことを経験したような次第です。特にびっくりしましたのは店の在庫ですね。店の在庫があるのかどうなのかという電話での問い合わせ、「あれば置いておいてほしい」ということ、なかったとしても「ぜひ取り寄せてほしい」という、こういうご要望、お問い合わせといったものの多さをひしひしと感じたような次第です。その中で、もともと書店業というのはネットでの通販というのを、アメリカだけでなく日本でも結構初期の時代からスタートしておりましたもので、そういうもので何か弊社でもできないものかということを検討したような次第です。  この図は、日本での書籍のネット通販というのはどういう形で進んでいったかということを示しています。第1フェーズと思われますのは、大型書店の在庫というものをそのまま活用したものでした。これは今でも紀伊国屋さんとか丸善さんといったところが行っている方法で、実際にネットで注文があると、それを店の人ないしはネット通販の担当者が、店の中を駆けずり回ってピックアップするというスタイルです。これはほんとに大型店ならではの豊富な品ぞろえというか、在庫というのがメリットでしょうし、逆にネットユーザーの方から見ますと、紀伊国屋の新宿の本店の在庫を探してもらってるということですね。そういうことで非常に具体的にわかりやすいというのがお客様にイメージできるというところがポイントだったと思います。  しかしながら、この方法では在庫表示ができないというような難点がありました。これは書店ですので、万引きによるもの等どうしてもあるべき本がないとかということがありまして、あえて在庫表示をしなかったというところが内情のようです。  また、約2年ぐらい前になると思うんですが、第2フェーズということで、逆にそういう在庫がきっちりとつかめないのであれば、いわゆる取次と我々は呼んでいる卸業者、例えば東販とか日販とかの、出版社の在庫をそのまま活用したらどうかということで、ヤマト運輸さんなどがトラックで、取次・出版社回りをして本をピックアップするような形のモデルというのを始めたわけです。これが結果的には、大きな店で本を探すよりも、早いんじゃないかということで非常に注目を浴びたシステムです。  それから、ちょうど昨年あたりから、弊社の方でも始めようと思ったときに出てきましたのが、この「クリック&モルタル」という言葉で我々が呼んでいるモデルです。物を渡すところを、駅であったり、コンビニエンスストアといったところを使って、数百円かかる送料というのを無料にできないかというモデルが出てきました。弊社の方でも取次と出版社の在庫を活用したいということ、それと駅という弊社としての資産を活用するということで、モデルをつくったような次第です。  具体的には、阪急と北大阪急行の駅の売店、コンビニ等々で送料無料でお渡しするということで、既存の売店とかコンビニタイプの物流ルートをそのまま使い、送料をほとんどかからないようにしたというところがポイントです。このために余り大きくないような駅では、1日余分にデリバリーの時間がかかってしまうということも生じてはいますが、そのあたりはご勘弁いただくことで、今のところは動いています。それと、当然ながら店舗でのお支払いという形ですので、現金がそのまま使えるというのが、メリットであるなというふうに思っています。ただし、特定の流通倉庫の在庫商品のみという形で、現在のところ割り切って運用していることも事実でございます。  後日ゆっくりブックページを見ていただければ結構かと思いますが、簡単に流れをご紹介します。お客様からご注文があったときに、当然注文を受けましたというメールをお渡し、当社の方のサーバーから取次の物流倉庫の2社間でオーダーのやり取りをし、商品の出荷をするもう1社の物流会社が配送をしています。お菓子の卸、たばこの卸、飲み物の卸というふうに、もともと売店とかコンビニに物を発送する物流トラックを統合しておりまして、その倉庫の方に書籍とかCDも持ってくるという形で、このトラック便に便乗するという形で送料を無料にするという仕組みにしています。まだ半年少ししかたっていませんが、現時点で簡単に分析をしておきますと、客単価は書籍で1,800円程度、CDで3,000円ぐらいということで、ほかの書籍などの宅配通販に比べると客単価は低目になっています。これはひとえに送料無料のお手軽さというのを、鉄道の行き帰りということで認めていただいたというふうに肯定的に今のところはとらえています。それから、リピート率が40%と非常に高いというのも感じています。しかしながら、いつ届くのかということについてのお客様の要求は非常に厳しいものがございまして、当然届く日の前日にメールを差し上げていますが、購入決定のタイミングで納期を知りたいというニーズは非常に高いと感じています。今後、実際に在庫というものを確実に保証できるような倉庫を使うようなこと、その他いろいろ売るための仕掛けというものを検討しているところです。基本的には、阪急電鉄の資産というのは駅の場所であったり駅の構内にある店舗ということで、お客様にとって一歩も寄り道をせずに寄れる場所というところではないかなと思っておりまして、そのあたりを最大限活用するには、逆に我々の方で中途半端なものをご提供するよりも、各業種業種のベストなサイトのものの受け渡しと代金回収というものに特化する方がいいのではないかなということも考えています。 小牧 どうもありがとうございます。それでは、最後になりますが、消費者の観点からということで、京都リビング新聞社の藤田さん、よろしくお願いします。 藤田 私の本業は、京都の家庭にフリーペーパーを作って配るという活字媒体に関わっており、大変ローテクな仕事をしております。今日は読者の代表という気持ちで、消費者として何を期待しているのかというお話をさせていただきたいと思います。  私の編集しております「京都リビング」という媒体は、メーンの読者が大体20代から50代ぐらいまでの女性ですけれども、日々の実感としまして、日本の消費のリーダーはこの女性たちじゃないかと思っております。特に京都の読者というのは目が肥えていて、しかもお金の使い方には厳しく、その人達の間で日々私たちも、もまれながら仕事をしているような状態です。  その中で、読者が何を求めているかということの第1点目です。今年は、デパートの1階の婦人用品売り場に行っていただくとよくわかりますが、毛皮の襟巻きがすごくはやっていて、たくさん売られていますし、もちろん、よく売れています。その状況は何だろうかなということをちょっと考えてみました。少し前にエコロジーということがブームになったときには、「毛皮というのはもうエコロジカルじゃないし、古くさいし、フェイクの毛皮の方が格好いいじゃない」という風潮がありました。けれども、なぜここでまた本物の毛皮が売れるようになったかというと、これはファッションのリバイバルということだけではなくて、最終的に消費者が物を選ぶときに、やはり手に取ってその感触というものを非常に大切にしているのではないかという、そこのところに思い当たりました。この手触りとか感触というものは、どんな場合にも商売上おろそかにできない点じゃないかと思います。で、さわったらやっぱり本物の毛皮は気持ちがいいし、ああ、やっぱり持ってみたいと思う。これは素直な感想だと思うんですね。このリアルな感触というものなしに物を売るということは成り立たないんじゃないかということを1つ感じました。  経済企画庁の消費者意識調査の結果を見てみたんですけれども、eコマースを体験したことがないという人の中で、利用しない理由は何だろうかということを挙げてもらったところ、複数回答だと思うんですけれども、1位に挙がったのは「実物が見られない」が40%ぐらい。「実物が見られないのが不満だからEコマースはちょっとね」という人が消費者の中には多いようです。2位が「電子決済に不安がある」ということ、これは30%ぐらい。3位が「商品の品質が心配である」。これは1位の実物が見られないということと連動してると思うんですけれども、消費者というのは物を手に取って選ぶということを非常に楽しみにしてるし、そのことがこのに数字となってあらわれてるんじゃないかと思います。  逆にこれをeコマースの可能性と考えあわせてみますと、リアルな感覚が必要でない買い物、チケットを買うとか、先ほどの「おとりおき」、本を買うとか、情報サービスであるとか、それからリピートして何か買う、もうお決まりのものであるとか、それから逆に品質がすでに確立しているブランドのものとか、そういうものにやっぱりeコマースの可能性があるんじゃないかと思われます。ただし、消費者というのは非常に値段にシビアですので、手軽に家からクリック1つで注文できるとしても、価格が気に入らなければ動いてくれないと思われます。  次に、2点目なんですけれども、これは私の体験ですが、京都というのはいろいろ和菓子がおいしいというので皆さんに知られてると思うのですが、あるところにおみやげに和菓子を持っていこうと思って、買って、新幹線に乗って、やれやれと思って着いて、向こうの方でデパートに寄ってみると、同じ京銘菓を売っていたということでがっかりした覚えがあるんですね。ここから思いついてちょっとした紙面の企画を考えました。本当に京都でしか手に入らないものって何だろうというのが、私の中ですごく疑問だったんです。  今、少し話が戻りますけれども、お取り寄せブームということで、雑誌なんかでもよく特集があるんですが、例えば信州のお味噌、どこそこのがおいしいとか、沖縄県のこの塩を使えとか、金沢の和菓子のこれはいいですよとか、京野菜のこれを取り寄せてみましょうとか、そういう特集というのも随分前からされてますし、電話やインターネットで注文するというのは既にもうかなり日常化してると思います。  その次に読者の欲しいものは何かというと、取り寄せられないもの、京都に行かないと手に入らないもの、これが今一番求められてるんじゃないかと思いまして、紙面の方で、夏、お盆前ぐらいなんですけれども、「京都でしか買えない京土産」という特集をしましたら非常に反響がありまして、とにかく京都のそのお店に足を運ばないと買えないものというのを紙面で紹介しましたものが大変よく売れたということで、これは皮肉な結果ではあるんですけれども、ここら辺にeコマースの2つ目のポイントがあるんじゃないかと思われます。  それから、次に日々接している読者のしたたかさということを少しご紹介したいと、思います。NTTさんの番号案内が1件100円になったときに、急に読者から「どこそこの電話番号を教えてくれないか」とか、「こういうことはどこで聞いたらいいか知ってるか」という問い合わせが非常に増えまして、おかしいなと思ったことがあります。NTTに電話したら100円だけれども、うちに電話したら10円か20円で済むから、こっちに電話してくるのかなということでした。そう思ってみますと最近までずうっと電話がふえているんですね。分かる範囲でお教えするようにはしているんですけれども、そのくらい主婦、中心は主婦なんですけれども、通信費というのに非常にシビアであるというのが身をもって感じるところです。例えば、『すてきな奥さん』などの奥様雑誌と言われるものが随分昔から出版されてますけれども、ここでも節約特集というのを、明るく、楽しく、ゲーム感覚でというのが1つのポイントになって、お金をいかに節約して、賢くためるかということを特集しています。  私どもの紙面の中でも、人気コラムで「家計簿診断」というのがあるんですけれども、「我が家の家計はこうこうで、どうしたらもっとお金がたまるでしょうか」という相談をするコーナーなんですが、ここでは4人家族で食費1カ月大体4万円というのが多いんですね。考えてみたら1日4人が1,000円ちょっとで食べてるということで、そんなことできるのかなと思うんですけれども、実際に読者にお話を伺いに行くとちゃんとやっているんですね。そのぐらいお金には非常にシビアなところがあり、これは京都の読者だけじゃなくて、全国の主婦はみんなそうだと思っています。  私どものリビング新聞というのは仙台から熊本まで全国にあるんですけれども、毎年一回「値ごろ感アンケート」というのをやってます。それで、「どのぐらいの値段だったらあなたは出しますか」という値段の値ごろ感の推移を調べてるんですけれども、それを見てますと、不況になってから夫のものはとにかくコストダウンすると言う傾向があり、ユニクロで買っておけばということになっているようです。しかし、意外と下がってないのが自分のものなんですね。例えば、化粧品はやっぱりいいものを使わなきゃとか、ということはもう定説になっています。  家族の川柳というのを毎年募集してるんですけども、そこでも、夫のものは安物で、自分はいいものを買ってるもんねみたいなものは、もう笑いを取ることさえできないほど当たり前の風景になってます。皆様もお家に帰られて、ちょっと奥様の持ち物を見てみられたらいいなと思うんですけれども。  また、マガジンハウス社から出てる『クロワッサン』という、2週間に一度の雑誌だと思うんですけれども、特集が、「年に一度自分に贈るプレゼント」ということで、年に一遍ぐらい良いものを買いましょうということで、例えばエステに行きましょうとか化粧品を買いましょうとか、いい靴買いましょうとかっていう、そういう自分に対するぜいたくには意外と寛容だという女性の姿が見えてきます。  それから、最後にもう1点ですけれども、一番どういう情報をみんな信じて動いているんだろうかということも考えてみないといけない点だと思います。私どもの新聞は京都で65万部発行しているフリーペーパーです。中には、かなり熟読して情報を上手に活用してくださってる読者もたくさんいらっしゃいます。しかし、読者は何を見ているかというと、これは本当にほんとかしらというところは、やはり非常に厳しい目で見てます。例えば京都なんかはグルメ本というのが山ほど出ていまして、単なるグルメ情報では読者は動きません。それで、ちょっとおもしろいことがあったのですが、先日「読者がおすすめする地元のパン屋さん」という特集をしました。何軒かのパン屋さんを紹介しまして、写真を大きく取り扱ったお店もあったり、それから小さく表だけで何々という名前とちょっと簡単なコメントだけを紹介したお店もありました。一番読者が気にかけたのはどこかというと、写真がとてもおいしそうに撮れていたとか、中心地にあるとか、有名なパン屋さんとかではなくて、表の端っこの方に小さく「店長が男前」って一言書いてあったところに皆さんがワーッと行ったんですね。そういう事で好奇心をかき立てるようなものというのが、やっぱり女性は大好きで、そこら辺が何かeコマースの場合も仕掛けとしてあるのではないかなというふうに思います。特に京都というのは、口コミ情報とか人からの紹介とか、よく言いますね、イチゲンさんお断りの店が値打ちがあるとか、そういうことが重視される土地柄でもありまして、例えばお医者さんはどこがいいかとか、幼稚園どこに行くとか、お受験どうする、どこの塾に行かせるとかというのは全部口コミなんですね。大切なことは、やっぱりマス媒体よりも口コミということを読者は重視してるように思いますので、そこら辺を心して紙面をつくらなきゃいけないなといつも思っています。  まとめますと、まず消費者がeコマースに期待するもの、あるいはしたいものというのは、まずとにかく毛皮をネットで買う人はいませんね。やっぱりさわって選ぶと思います。リアルな感覚を必要としないものはeコマースで買ってもいいかなって思うと思います。  それから、希少価値があるものですね。お取り寄せができないものが、このサイトにアクセスすればお取り寄せが特別にできますとか、そういう何か仕掛け、そういうものがあると動くんじゃないかと思います。  それから、もう1つは、ほかの手段で手に入れるよりも値段的にお得である。先ほど言いましたようにNTTに電話せずにリビングに電話して電話番号を教えてもらっちゃおうというぐらいちゃっかりした主婦にとって、やっぱりコスト感覚というのは非常に重要です。  最後が、情報として非常に新鮮、手あかのついてない情報、それから好奇心を刺激してくれるような、おもしろいものというのをいつも彼女たちは調べ、探してるんじゃないかと思います。  eコマースの場合、自宅にいながらとか、忙しい人でもとかっていうことがよく言われますが、今は小さいお子さんがいても、みんな家から外に出たい。子供連れでもいいからどこかへ行きたい、何かしたいという欲求が強いです。だから、家にいながらショッピングというのが本当に彼女たちに幸福感をもたらしてるかというと、それはちょっと難しいところかなというのが私の実感です。以上で私のお話を終わります。 小牧 どうもありがとうございました。それでは皆さんにご議論いただきたいと思います。こちらから2つほど設問を用意しております。1つ目は、B to Bに比べて、B to Cは特に日本では遅れています。それが遅れを取り戻し、なおかつ急激にこれからどんどん世の中に入ってくるんだろうか。それとも、遅れたままで、何か問題があって、余り大きくならないものなのかというところの議論をまず皆さんにもう一度お伺いします。  2番目に、例えばそれが立ち上がったとしたときに、社会的な側面、文化的な側面、法制的側面、経済的な側面、技術的側面を含めて、種々の問題が生じる可能性があると思います。で、どのような問題があり、そういうものがあったとすればどう解決していけばいいだろうかという質問です。  それが終わったところで、フロアの皆さんから新しい質問をお受けしまして、パネリストの方にお答えいただきます。それが3番目です。それから、時間があれば4番目なんですが、先ほど鬼木先生から20世紀全体の総括と21世紀に向けての課題について話があったと思いますが、eコマースも含めて、その辺のところをディスカッションさせていただきたいと考えています。  では、まず最初の1番目の質問を菅原さんから順番に話を伺います。また、2番目の社会的な問題だとか、問題があるとすればどうなのでしょうかという話は藤田さんの方から戻ってお話をお伺いしていきたいと思います。では1番目の質問に関し、菅原さんの方からお願いします。 菅原 全てをまとめて言いますと、むしろ日本の現金主義と、それから超アナログ人間・日本人というところにすべて言い尽くせるんじゃないかと思います。藤田さんがおっしゃったように、規格品とかそんなものがアメリカでよく売れてるというか、よく取引に乗っかるというのは私どももよく書籍等を読んで知っておりますけど、さわってみないとわからないとか、それから人よりもちょっと違ったものを持ちたいという、その満足感を満たすためには、少なくともネットに乗る商品では無理だなという感覚があります。もちろんクレジットの普及とかそういったものはアメリカに比べてずっとおくれてますから、これはやむを得ないかなという感じです。とりあえず、例えば牛肉一つとってみても、やれ米沢がいいとか神戸がいいとか、いろいろたくさん名産品があるんですけれども、アメリカでステーキを食ったら、どこへ行ったって同じ味で固くてまずいということで、あの程度で満足する国民性と、それでは満足できない国民性の差がB to Cではあるような私は気がいたします。 小尾 今のB to BとB to Cという形で、ずっと私もB to Bの方を見てきてるんですけど、やっぱり1つ感じるのが、B to Cのというか、インターネットに対するイメージが、テレビの広告なんかでも裏の酒屋のおっさんがフランスに日本酒を売るというコマーシャルで、大手のそういうシステム関係の方がいらっしゃったら申しわけないのですけれども、多分あの見積もりを取ると数千万円か何かになって、多分その酒屋はつぶれちゃうという形になると思います。現在、インターネットというもの自体の考え方が、エリアからどんどん広がってきたという歴史的な事実があります。そういうことを考えれば、一つ一つのエリアがまとまって、それがどんどん増殖してインターネットということを考えたとき、裏の田中さんにインターネットでもって注文を受けお酒を届けるという方が、多分現実的なんじゃないのかなあと思います。  我々テレビなどを見ていると、どうしてもインターネットというと、インターナショナルで何か大きなことをやらなきゃいけないのじゃないのかなというようなことを考えがちになる。その点、高校生なんかが使ってるあのiモードなんかの場合には、ほんとにエリアでスタートしてるというところが、普及の1つの原因じゃないのかなと思います。ですから、やはり皆さんと我々なんかが考えていかないといけないのは、エリア、エリアでちゃんとしたネットワークを1つ持つということ。そういうものが全日本に発展していくということになると思われます。  あと、どうにかして楽しみたいというアメリカの発想と、根性出して頑張るという日本の感覚の違いもあると思います。先ほど申し上げたERPとかそういうふうなシステム、BPRとよく言うビジネス・プロセス・リエンジニアリング、要するにリストラですね。リストラというと人を減らしちゃうというふうな発想にどうしても日本はなってしまう。じゃなくて、そういう減らした人を有効利用して、もっとちゃんと使いましょう。要するに、なるだけ楽をして効率を上げるということに関しての発想がアメリカではすごく強い。一般のコンシューマーでも、どうにか遊ぶ時間をつくって、週末楽して遊びたいという考えがあると思います、外国の場合には。ところが、日本はどうにか仕事をつくって、会社にいて、家に帰らないで、奥さんの顔を見ない方がいいっていうような発想が、もしかするとあるのかもしれないです。それであれば、日本では、こういう効率化というのを真剣に考えないのではないのでしょうか。これはやはりリストラとかそういうものも含めて、本当の効率化を徹底してやって、時間のむだを省いて、どんどんこういうものを便利に取り入れて、ほかにどんどん時間を使おうという発想を持たなければ、発展しないと考えております。 釜野 金融では商品の差別化みたいなものが逆にありませんので、これはむしろアメリカよりも本来であれば普及してもいいんじゃないかなと思っています。日本では例えば口座引き落としなんかもアメリカよりも普及してますし、そういうところを信用しています。クレジットの明細も余りチェックしてない人も多いんじゃないかと思います。アメリカなんかですとまだ小切手を使ったりしています。金融に関して言えば、まだ始まったばかりなので余計なコストがかかったり、その面で十分競争ができてないからだと思っています。今後、この面が改善されれば急速に伸びると考えています。  また、小尾さんのお話の効率化に関しては、例えば効率化しないといっても、やっぱり銀行の窓口に並ぶのはみんな嫌だろうし、そこで時間を使いたくはないだろうとか、そういったところで効率化できるもの、あるいは安くできるということであえば、これはかなり広がっていくのではないかなというふうに思ってます。  あとは多分セキュリティーとかその辺の問題なんですけど、その辺も多分、逆に日本人は余りセキュリティーに厳しくなさ過ぎるぐらいで、金融機関の方が逆にある程度のセキュリティーを確保しようとしたら、それが不便だといって怒られてしまうというのが結構あるらしいです。そのあたり、もう少し普及してくれば適度なといいますか、セキュリティーとコストのバランスが保たれ、その辺が見合ったところで広がっていくだろうというふうに、思っています。 岡本 先ほどの説明の中でも、今当社の方でやらしていただいてる本とかCDというのは、いわゆる記号商品と言われているもので、特に品質にばらつきがあったりとか、当たり外れがあったりするものじゃないですし、逆にある程度中身を知ってる方はネットで注文しても別に問題ないようなものであって、そういうものであったりとか、先ほど藤田さんのお話の中にもあったように、いわゆるリピートするような商品というのはもっともっと伸びていくと思っています。ただし、先ほどのお話にありましたように、やはり安さか利便性か何かメリットがなければいけないわけで、そういう意味でネットの場合の送料の問題というのは非常に大きいのではないかなと思っています。  今書籍については、雨後のタケノコのようにネット通販がふえてまして、きょう発売の「日経ビジネス」にも載っていたのですけども、送料無料というような出血大サービスをやりながら生き残りを図るようなことをやっているんですけども、そのあたり、もう少し何か地域というようなまとまりで全く違う仕掛けができないものかなとは思っております。  あと、いわゆる晴れの日というんですかね、「これを買いに行くんだ」というものについては、私は鉄道会社の人間ですから、それまで含めて全部ECで買っていただくのがいいとは思わないですし、余りやって欲しくないことではあるんですけども、そういう晴れの日のショッピングをあえてECでやりたいと思うほどの何かメリットが得られるものがあるのかなあということになると、例えば百貨店の外商というのはお客さんの好みを知っていて、外商の人に話をすると、その人の個人情報を分った上で気持ちのいいご提案をしてくれる。行きつけのゴルフショップのおやじは、私がフックばかり打つのをわかっていて、「こんなクラブがいいんじゃないかな」と言ってくれたりするという。恥ずかしながらもその個人の個人情報をあえて相手に与えれば、それに見合う以上の何か見返りが返ってくるようなギブ・アンド・テイクのような、何かそういう、あえてプライバシー、プライバシーということで情報を隠すんじゃなくて、ユーザーの方からあえて自分の情報を出したらもっといいことがあるよというふうなものがあれば広がるのかなとは、個人的に思っています。 藤田 私の立場から、先ほども申しましたように、ストレートな物流の面では少し限界があるかなあという気がするので、何か情報、加工された情報がくっついてるとか、そういうものが欲しいというのが1点。それから、これはeコマースと言ってよいのかなと思うのですけれども、12月から始まるBSデジタル放送の中で、双方向で何かショッピングなんかもできるようになるという話なので、ここら辺はちょっと可能性を感じる次第です。以上です。 小牧 どうもありがとうございました。今いろいろ聞いてみますと、売れるものと売れないものがあるようです。大きく、分類すると、(a)規格がそろっている記号商品とそうでないもの、(b)物流を伴なわないものと物流が必要なもの、(c)金額がある程度大きく手数料が問題にならないものとそうでないもの、に分けられるのかなと思われます。それらのうち、典型的なものが証券取引かなというふうな感じは受けます。規格品、物の移動は伴わない、かつ金額が大きいものであり、その様なものはかなりeコマースに適したものになりそうな気がします。小尾さんの言われる守りのECに近いのですが、その人数がふえるということで攻めのEC側にもなるような気がします。証券というのは、情報を速く動かさないといけませんので、そういうところにも成功する要素があるのかなと思われます。  もう一つの例は書籍やコンピュータで、いわゆる記号商品で店屋さんに探しに行ったりしてもたまたま在庫の無いものがありますから、ネットを利用すると一応むだが省けるような形になっています。物流を伴いますが、本の場合は阪急の駅で手に入れたり、金額が大きいコンピュータの場合は宅急便で送ることによりそのコストを抑えると言うことで、立ち上がってきてるのかなという感じを受けます。  逆に、そうでないもの、一番難しいのが、物流を伴って、なおかついろんな品種があって品質が違い、金額も少額であるようなものではないかなというふうにまとめられます。  それでは、21世紀に向かって、トータルで売り上げが伸びるんだろうか、伸びないんだろうかということを一言だけちょっと聞いてみます。21世紀に向かって伸びると思われる方は挙手をお願いします。(パネリスト全員挙手)全員が伸びると思われています。ああ、これはいいですね。 その他、何かコメントはありますでしょうか?菅原さん。 菅原 大分県の一村一品が大分県の経済を大いに振興したという過去の成功例が1つあるわけですけど、私ども京都というと非常に歴史があって大変奥の深さがあると思っています。その文化をもう少し京都市さんが、情報を発信して興味を持たせるというのは大変大事なことではないかと思います。小尾さんが言われたように、やはり知らしめることで随分違うのかな。知らないことってたくさんあるんじゃないかなと思いますね。 小牧 じゃ小尾さん。 小尾 たしか1997年か、かなり古い話だと思いますが、大阪にアメリカのアースリンクというプロバイダーの社長が来ました。その当時その社長は25歳だったと思います。彼が言ったのは、インターネットは日本のような国に非常に向いていると。例えば伝統工芸なんかがある中で、それらを普及させる。要するに日本のこのまま行ったらそれらはなくなるだろうけれども、世界、アメリカだってどこだって、そんなものを好きな人いっぱいいるじゃないのと。先ほどの酒屋の話とはちょっと矛盾するんですけれども、そういうところにこういうものを普及させたらおもしろいんじゃないのと。ある程度のコストが必要でも、本当に欲しいものを手に入れたいという方は、世界中探せばかなりいるので、1つの企業を養っていけるぐらいのニーズというのは十分あるのではないかなと思います。 小牧 あと、釜野さんも手を挙げられていますね。 釜野 私はちょっとまた株の方から同じようなことを考えると、株も何千銘柄といっぱいあるんですけども、多分インターネットのようなオープンな環境の中でいろいろリサーチの結果が出たり、個人でいろいろ調べている人がいたりというのがあって、そのような情報は品質一定ではなく、個別に異なった情報と考えることが出来ます。そういうところをインターネットのようなツールで発掘し、目を向ける人が出てきて、そこに投資する人も出てくると考えています。 小牧 そうですね。では、とりあえず、21世紀に向かって、20兆円のクレジットカード決済のうちの10%、2兆円ぐらいがネット上でB to Cで立ち上がるとしたとします。そのときにいろいろな問題が今後発生してくるのではないかなと思われます。その辺の問題点、特に消費者サイドから見た方がわかりやすいと思いますので、社会面、文化面、それから経済面、それから技術面ですか。そういう観点から1つずつお願いしたいと思います。藤田さんからお願いします。 藤田 物を買う消費者の側から言うと、トラブルが発生したときにどういうふうに向こうが解決してくれるだろうか、対応してくれるだろうかということに関心がやっぱりありますね。特に顔の見えない関係だとクレームのつけ方というのが厳しくなると思いますので、そこにどういうふうに対応していくかというのが気になるところです。 例えば、注文したけれども違うものが届いちゃったとか、注文したのにいつまでたっても来ないとか、そういうときに本当にきちんとどこまでフォローできるか。それはやっぱりどこかで人間の手が入ると思うんですけれども、どこまでうまくそこをマネージメントしていけるかということが気になるところです。岡本さんにお聞きしたいんですけれども、本の在庫って結構流動的で、注文を受けても絶版でしたとかっていうのも結構あるかなと思いますが、そういう場合のフォローというのはやっぱり1つ1つメールで返されてるんでしょうか。 岡本 非常によくあることです。それは全部メールでお返ししています。それで本当に、結構ネットの商売というのはお問い合わせ、感謝の言葉をいただくこともありますし、おしかりを受けることも当然ありますし、多分リアルなショップよりもお店の人とのコミュニケーションは多いと思うのですね。余りこんなことを言ったら失礼なのですが、結構大変だなと。お客様窓口のメールの相手をすることは結構手間がかかるなというのを本当に感じるほど、お客様からいろんな反応が返ってきます。また、お客様はそれがあることを逆に喜んでいらっしゃるようにも思います。ですから、本当にリアルのショップの方が、少し味気ないというのですか、そんな気がしてならないですけどね。ですから私などは、B to Cが浸透したらどうなるかと言われると、先ほどと一緒で、やっぱり鉄道会社の人間なので、リアルの街が本当に何かだんだんと味気ないものになってくるんじゃないかなというのを非常に危惧する次第です。  ちょっと人から聞いた話なのですが、アメリカではピックアップセンターというのがあって、宅配便などを家に持ってこないらしいんですよ。家に来ても泥棒か強盗かもわからないので、呼び鈴を鳴らしても家の門もあけないということで、逆にピックアップセンター止めという形にし週末にピックアップセンターに取りに行くということです。送料が安くつくということもありますが。  おもしろい町というものに育てないと、ほんとに逆にB to Cの方に席巻されるのではないかという心配を私は持っております。 小牧 少し話が戻りますが、例えば本がベストセラーになり、みんなが取り置いてくれと言ったら在庫がなくなりますよね。そしたら、本の印刷がすっと出てこないといかんのですが、印刷がすっと出るということは、もとの情報が電子化されているので紙を介さずにネットで流すという手もあるんですが、その辺はどうなるのですかね。 岡本 この業界の人は、電子出版への移行というのは2割とか3割とかという読みをなさっているようです。これは人によって変わってくると思います。 小牧 次は、釜野さんにお願いします。金融関連の場合はいろいろな課題があり、セキュリティーの話だとか、成り済ましだとかの問題もあるんじゃないかなと思います。その辺については、いかがでしょうか? 釜野 そうですね、現在、取引するときはID番号とパスワードを使用しています。それだけでいいかという問題と、逆にパスワードを忘れしまう人も結構多くて、そうするとすぐ取引できないといって、またクレームになったりしています。また、証券会社がひとつだけだったらいいんでしょうが、例えば何社かと取引していて、さらに銀行があって、それでIDもパスワードもいろいろ違っていたりすると、多分これは覚え切れなくなったり、そういうことが現実にあったりするようです。ほんと言うとそういったところは、1つで簡単に個人認証ができれば社会全体のコストが下がるだろうということもあるんですけども、なかなかそう簡単にはいかないようです。  あと、金融関係の情報に対しては特にセキュリティーを高くしなければいけません。例えば、この人がこういう本を買ったという、それも大事な情報なのですけど、この人がこういう預金で幾ら持っているとか、そういう情報というのは確実にプロテクトしなければいけませんが、そういったものをどうやっているのかを確認する必要があります。例えば金融機関の側もどのぐらい管理をちゃんとしているかというのは、必ずしもそこまではオープンになってなかったですが、それをどういうレベルでやっているかという話、これは本来かなり検査なんかでも厳しく見ていかなければいけないところだと思うんですけども、現状はガイドラインなんかもまだどんどん変わっているという段階で、どこまでやらなければいけないかというのは必ずしも明確にはなっていないのが現状ではないでしょうか。コストを考えると、なるべくしたくないと思う人は当然いますので、これからコストとセキュリティーのバランスというのは課題だろうというふうに思っています。 小牧 わかりました。いろんな手法があったと思うのですが、ネットワーク社会の中でどのような手法が今後成り立つだろうなという、予想はありますでしょうか? 釜野 多分しばらくは、先ほどの一番原始的な、銀行の口座は確定しておいて、そこにこちらから振り込むと言う方法が使われるものと思われます。銀行の窓口では本人確認もやってますし、大口の取引だとそこでチェックも入ったりします。特に証券の場合は大きな、数十万とか数百万という送金になりますから、その場合にはそれが一番確実な方法と思われます。 小牧 この件に関し、菅原さんの方は何かありますでしょうか? 菅原 セキュリティーに関して、今のセキュリティーがどういうニーズから出てきたかと言うことを知ることが必要だと思います。クレジットカードの番号を盗まれたどうのこうのというもののほとんどは、ネットとかそういうところではなくて、信用できそうもない相手にクレジット番号を出してしまったというところで、それを悪用されるというケースではないかなと思うのですね。確かにセキュア・ソケット・レイヤーをネットワークで使わずにそういう取引をされている方もいらっしゃいますけど、今の技術的なレベルでいうと、まずほとんど問題ないと考えられます。相当大がかりの組織犯以外にそれはあり得ないだろうというふうに思っています。現在、それが誤解されているという部分は、ネットにとって随分損なのかなと思います。  最終的には指紋とか、あるいは声紋だとかがあります。声紋はもう既にASPさんのが出てきておりますし、実用レベルになっています。本人確認というレベルは最終的にバイオメトリックスに頼らざるを得ないのかなあと思っています。それも2?3年のうちには実現できそうな感じなので、セキュリティー面では問題がないと思われます。 小牧 技術的には可能であると。ただし、B to CもしくはC to C的なものになってきますと、相手がどれぐらい信頼できるだろうかというところの方が割合大きな問題になると言うことになりますかね。 菅原 そうですね。そういう意味では藤田さんのおっしゃったトラブルの回避というのがありますね。そうなると口コミというのが非常に重要な情報源になりまして、あそこは信頼できるとか、いわゆるeBayサイトみたいな、口コミサイトみたいなものが新たな価値を持ってくるのかなという感じはいたしておりますけども。 小牧 あと、抜けているのが文化的側面での問題があるのではないかと思います。これは小尾さんにお伺いしたいなと思うのですが、対面的なもの、それからコミュニティ的温かさというものがなくなってくるのではないのかなと思われます。特に若い人たちがそういうところへ入り込んでしまいますと、人間性も含めて無くなっていくような感じを受けておりますが、いかがでしょうか? 小尾 まさしくインターネットというのはひとつのコミュニティですので、現実のコミュニティからどんどん離れていくということは多分ないのではないのかなと思っています。例えば、AOLがなぜ普及したかといったら、あれは「ユー・ガット・メール」みたいな映画を見ていただければわかりますけども、チャットで爆発的に受けて、男と女の出会いというのが、今はeメールでもって発生するということになっています。海外とかそういうところですと、例えばサーファーのコミュニティとか、そういうふうないろいろのコミュニティができ上がってきて、こういうところを核にして、ECとかそういうものとかが普及していくんじゃないのかなと思います。例えば、求人サイトなんかにしても、こういうコミュニティなんかに来ている人、そういうコミュニティの中にいる人が、そのアイデンティティなって、1つの信頼関係を築き上げるというようなことも多分行われるんじゃないのかなと思ってます。 小牧 なるほど。ということは文化的側面でも余り心配しなくていいかもしれませんということですかね。あと1点ですが、例えば楽天市場とかそれからヤフーだとか、何か1カ所に大きなものが集まってしまって、そこの情報からしか次に行けないような形になって、小さなものへたどり着きにくくなると言うようなことも発生しそうな気もしていますが、この件はいかがでしょうか? 小尾 まさしくおっしゃるとおりで、私が先ごろEシティーという会社をつくっていろいろやっているものも、そういった考えからです。悪く言うわけじゃないですけど、日本人というのは大きいものが怖いですから、どうしても、どこかがやっているところにみんな集まろうとする傾向があります。まず、最初は仕方がなかったんじゃないかと思います。今はそういう大きなところにみんなが集まって、テストなんかしているけれど、もうほんとうに21世紀になって発展してくればそういう小さなものにもどんどん移行していくだろうし、そういう流れの過渡期の中で1つ起こっている現象ではないのかなと思います。 小牧 わかりました。とりあえず1番目、2番目に関しまして、このパネリストの中では議論させていただきました。それ以外のものを含めてフロアの方からコメントならびに質問をお伺いしたいと思います。 質問1 関西計器という極めてオールドタイプの会社の浅川と申します。菅原先生にちょっとお伺いしたいんですが、お話になった日本は0.1%、アメリカは1.0%、という家計に占める割合がありましたね。たしかアメリカは日本の10倍だったかと思ますが。がんばっても1%。これは血道を上げてやるような魅力のある数字なのか、あるいは将来もっと増えるのか。よく、アメリカはITで経済が繁栄していると言っていますが、ほんとにこれが繁栄に寄与しているのか、ちょっと心配になりまして、質問させていただきました。 菅原 私も新聞とか雑誌とか論文とか、そういうものでしか承知していないんですが、車に対する執着の差、日米の差なのですけども、アメリカは下駄がわり、靴がわり、日本はやはり自分の支出規模に合ったものであれば、かなり凝りますね。持ち物に対するこだわりというのがアメリカよりも日本の方が強い。これは農耕民族と狩猟民族の差があるのかなという感じがいたします。規格品でそこそこいけるじゃないというのを容認できるかできないかの差が、日本とアメリカの間にあると思います。いまだに小切手をお使いのアメリカと、銀行振り込みがきちんと制度として、あるいは浸透している日本の差というのをどこに見出すかとなるのですけれど、やはり最後まで手ざわり感覚にこだわるとすれば、パッケージのソフトを簡単に使って仕事を変えてしまうアメリカと、うちの会社はこうしないとだめなんだとカスタマイズにこだわる日本の文化的な差というのは最後まで残っちゃうのかなと思います。  差は10倍なんですが、行き着く先のパーセンテージというのは、やはり僕は限界があると思いまして、例えば5?6%なのか10%なのか、その辺がリミットなのかなというふうな感じはいたします。 小牧 その10%に対して、賭(か)けてみる価値があるかどうかという質問がありましたがこれについてはいかがでしょうか? 菅原 それに十分賭けてみる可能性はあると思います。それは情報発信の量が日本は余りにも少ないのでということではないかと思います。関西経済活性化白書を読みますと、関東圏と関西圏の情報発信の差というのは、東京を1にしますと関西圏は65%ぐらいですね。それがIT装備率の差にそのまま直結しております。そういった意味ではIT化というときに、例えば市町村の方々がさっき言われたようなコミュニティをうまく活性化するような、そういうIT化の方向に向けていただくとまだまだ可能性はあるのかな、という感じはいたしておりますし、また企業個々にとってもあるいは個々のお店にとっても、情報発信することによってビジネスのチャンスを拡大する、販路を拡大するという、いわゆる積極的なEC、攻めのECの伸びはまだまだ大きな可能性を残していると思います。 質問2 通信放送機構兵庫リサーチセンタの竹垣と申します。先ほどの、株の取引の中での質問ですが、課税が分離課税から総合課税に替わると言うことで、買ったときの価格などをずっと保存しておく必要があるのじゃないかと思われます。そうすると、小さい特徴ある会社で買っても、幾らで買ったかというデータがだんだん残らなくなってくるのじゃないかという気がするのですが。我々ユーザーの希望としては、小さい会社の特徴プラスそういう小さい会社同士が大手に対抗する何か1つの工夫策を期待したいという気持ちがあるのですが、そのあたりはどうなっているのでしょうか? 釜野 おっしゃるとおり、今はまだ過去にさかのぼって買い値をずっと保管、特に電子的に保管しているというわけでは必ずしもないのですね。ですから、そういった形で課税されるということになりますと、いつでも出せるようにしておかなければいけないというふうになると思いますが、そういったことは多分そんなに負担にはならないで対応できるだろうと思っております。現在でもそういったバックオフィスの部分のシステムというのが、証券ですと大体3つか4つの大きな系列に分かれていますが、その辺ももう少し手軽になってくるだろうと思っていますし、そういった変更も、もう少し簡単にできると思われます。  従来証券のシステム、銀行もそうですけども、証券の場合は特にバッチといいます大きなシステムで全部やってましたので、そこにインターネットのフロントを乗せたというのが現状なんです。ですから、データベースにしても、そちらの大きなシステム側にあってなかなか変えられない構造になってたんですけども、アメリカの場合はフロントに全部のデータベースもくっついてると言う構成になっていて、恐らく日本もそれに近い形に将来なっていきます。  もう1つ、株式の場合、今、受け渡しまで3営業日あるんですけども、これを1営業日にするという流れが世界的にありまして、そうすると今までのシステムでは対応できなくなります。ですので、これはもう大きなところであろうと小さなところであろうとそういった形で進みます。それができなければ、生き残れないということになると思っています。 質問3 ドコモ関西の宿南といいます。きょうは社員としてより個人として、ちょっと質問させていただきます。皆さん平和な議論をされたので、ちょっと爆弾発言というか爆弾質問をさせていただきますが、東京とか政府関係者は今IT革命の進まない犯人は何人かいると言っています。多分、一番最初に出てるのは通信事業者だと言うことになっていますが、私から見るともっと悪いのもいろいろいまして、通信事業者より多分政府の方が悪いとも思っています。それから、3つ目に悪いのは、別に今おられる皆さんの会社が悪いというわけじゃないですけど、一般的にまだ日本のWebはサービスメニューだとか工夫が足りないと。4つ目は消費者も、消費者代表も来られているので、消費者も悪いと思っています。消費者はおとなし過ぎると考えています。もっと安くていいものを出さないと買わないよと脅かせばもうちょっと工夫するのではないかと。それぞれ皆さん、自分の立場は度外視して、それ以外のところでどこが一番悪いかという、それぞれの皆さんに少し追求していただきたい。  私なりにネタを提供しますと、例えばこの間ある研修旅行でヨーロッパへ行ったんですけど、JTBさんに、ミニバス9人乗り1台チャーターしてくれというと12万円かかると言う話。それで自分で勝手に電子メールをフランスの片田舎に打って、3万円で予約して、いい運転手で別に何の問題もなく終わりました。また、大学にいたときに、ハーバード大学のホームページからはそこでしか買えないものを売っています。ハーバードで30ページぐらいのケーススタディー用の教材をインターネットで売っていて、書店では買えなかったです。そういう格段に安いものとか、そこでしか買えないものというのがなかなか日本のサイトから見つからないように思えます。それはサイトの提供者の方だけが悪いのではなくて、書籍が何で3割引きにできないのかというと、再販制が残っているとか、言えば、いろいろ原因はあろうかと思います。  というような話も含めて、もっとブレークスルーするためにはだれが悪いんだという犯人探しをひとつお願いしたいと思います。 小牧 難しいですね。どこからいきましょう。まず、通信事業者さんからいきましょうか。一応それに絡んでるかもしれませんが、ドコモさんが自動販売機前で携帯電話でジュースを買えるようなものを実験されていますが、あれが果たして次の世代で使われるかどうだろうかと。例えばジュースを買うのに携帯の電話料金、パケット料金になるとは思うんですが、それを使ったときに何円上乗せされてということになるのでしょうか? 菅原 ジュース1個105円で買って、通信料金は多分0.4円です。そういう意味では、トランザクションにおける情報量なんていうのは極めて少ないもので、通信料は105円の中に含まれてしまいます。  キャリアに対する規制の問題もいろいろありますけど、二重投資をしなければもっと安くなるというのは自明の理だと思いますね。あと、アメリカのアクセスチャージがアナログの回線をベースにしているということと、日本ではISDNの64Kをベースにしているという、その差もあります。 小牧 ということはドコモさんは一応問題なしと。(笑い) 藤田 現金で買ったら幾らなんでしょうか? 小牧 105円だそうです。 藤田 手元に小銭がなかったら、仕方なく買うかもしれないですけれども、基本的に少額の買い物をクレジットとかで決済する習慣が日本人にはまだちょっと行き渡ってないかなという気がしますね。 小牧 現金の回収が不要になるので、例えば100円に出きるということであれば。 藤田 100円になったら買うという人はいると思います。 菅原 端末対ベンディングマシンの通信で、ブルートゥース、非接触のICのインターフェースあるいは赤外線のインターフェースを使って、機械と端末が通信をし、そういう意味では、小銭が携帯電話の中に入っているという感覚でお使いになるシーンは遠からずやってくると思います。一々ネットワークで通信しなきゃ取引ができないというのは、よほどのことがない限り、そういう少額の決済の場合はないんではないかなと思います。 小牧 2番目が政府と言われてましたけど、政府の人がちょっといないので、これはパスしますか。この中に政府絡みの方おられますか。どなたか、かわりに答えていただけますか?おられないようですね。わかりました。(笑い) あと何件かありましたが、消費者も何かだらしがないんじゃないかという意見が出ているのですが。 藤田 一番革命が進まない問題点は、消費者がIT革命が進んでほしいと真剣に思ってないことでしょうね。別に進んでもいいけども、進まなくて、現状で結構満足してしまってるので、推進力には余りならないという気がしますね。 小牧 基本的には、値段が安くなるという要素で、中間のマージンを落としたりだとか何かの努力をしてもらえれば、そこへついていきますよということのようですね。 質問4 大阪学院大学の鬼木ですが、ちょっと今の点で。この前の講演で少し申し上げたことに関連するんですが、消費者の意識というときに、日本は外国に比べて非常に能率が悪くて、物が高いと思います。その中で、ちょっとITを入れて安くしても大したことがないよということですが、外国に行くと物が安くて、旅費は高いけれども、向こうに行くといいものを楽しめ、町もきれいであるということになるとどうなりますでしょうかね。うっかりすると将来、日本はだんだん、悪くなって、そのときにその何とかしなきゃいかんという感じになった場合、逆に言うとITが入ればうまくいくかもしれないという場合の消費者の意識というのは、ちょっと変な質問ですが、反応はどうなりますでしょうか。 藤田 まだ個々のごく普通の消費者の間で、ITが入ることによってどれだけ自分にメリットがあるのかというイメージが描ききれない段階だと思っています。企業の側がもっとそれを知らしめてくれれば、ああそうか、それだったらもっとやってよという声になって上がってくるかもしれないんですけれども、今の段階で普通の主婦がどこまでそれをイメージできるかというと、まだまだ私も含めてわかってないなという段階だと思います。 小牧 そうですね。多分ほとんどの方がIT革命というものの実態をまだ完全につかみ切れてないんじゃないかと思いますね。サプライヤーというか、それを使ってビジネスモデルをつくろうとする側もまだ模索の段階のものもある。うまくいってるものもありますが。 質問5 BBCCの岩戸です。きょうは各先生方からいろんなお話を聞かせていただきまして、どうもありがとうございました。1つお伺いしたいのは、きょうのお話の中で余り出なかった問題なんですが、小尾さんからエリアとかコミュニティーの話がちょっと出ましたけども、都市部と農山村部を比較したらこういう問題は一体どうなるんだろうかということに関して質問させてください。アメリカで通販が非常に普及してるのは、国土が広くて買い物とかなんかが不便だから通販がよく利用されるという話をよく聞きます。それでは、日本の場合どうなんだろうかと考えるとき、結局都市部の方が利用率が高いんじゃないかという感じがするんですが、きちんと自分で分析した結果で申し上げているわけじゃないので、漠然とした感触なんですけども。その辺、小尾さんなどはどう思ってられますか?  それから、菅原さんにちょっとお伺いしたいんですが、ドコモさんなんかの携帯の契約ですね。人口当たりの比率で見ると多分都市部の方が多いんじゃないかと思いますが、iモードの利用なんかでも、その辺の実態はどうなってるのか、ちょっとその辺教えていただきたいんですが。 小尾 今のご質問の中で国土が広いから通販がうまくいくというのは、多分そうではないんじゃないのかなと思います。都市部と農村部という形だと、特にコンビニの方々なんかがよく言われるのは、コンビニ決済ですが、東京からどんどん車で出ていくと、コンビニがどんどん減っていって、電気が真っ暗なところにはコンビニがないんですね。ということは、コンビニ決済もほとんどが大都市で行われています。現時点で、統計的な数字は持っていないですけれども、通販などが利用されているのはほとんどが、やはり首都圏の方が多いのではないかと考えています。これはパソコンやキーボードとかそういうふうなデジタルデバイドの問題なのかどうかはわかりませんけれども、実際問題として今インターネットの普及とかそういうものを話しているのは、都市部の一部の方々の中でしか起こっていないように思われます。先ほどの話のように本当に必要なのかどうかということもわかっていないと思います。  先ほど言った守りのECの話にしても、こういうものを使ってコストダウンをしなければ危ないという危機意識は、外圧とかバブルとか、そういう何らかの事が発生しない限り起こらなかったし、現時点でも相当危機にあるという状況でいながら、実際にヴィトンのバッグが売れてるという現状がありますので、ですからそのあたりで我々自身が本当にITというのは何なの、これどうしたらいいのというふうに自分たちが考えない限り進展しないと思われます。ほんとに都市とか田舎とか、そういうのは関係なく、先ほどの話じゃないですが、やはりニーズというものがまだ出てきてないというのが非常に難しい問題だなというのが私の感じです。 菅原 都市と農村の差というのは多分あると思います。例えば都道府県別の携帯電話の普及率を見ましても、東京が圧倒的に60%を超えております。大阪は4位なんですけれども、都市部が圧倒的に強いです。同じ関西の中でも大阪の60%近いのと和歌山県でまだ39%というのと、それは歴然たる差がございます。そういった意味では、通信基盤といいますかインフラの基盤の整備の状況についても、やはり169号線の100軒ぐらいしかない集落にはなかなか携帯電話が浸透していかないという、そういう事情があろうかと思います。  もう1つ、ITに対する理解不足というのは、ITは単なる道具でございまして、電話とファクスでも十分ITだと思うんですね。問題はそれを使いこなす人間と心の側であり、どうもITって入れればもうかるらしいというのでスタートする。このような場合、今までは失敗した例ばっかりなんですね。そこをうまくITを使えば、こんな表計算なんか一発じゃないというところから、やっぱりITの便利さを実感していただければ簡単なのかなと思います。ITによって豊かになるのはむしろ人間でありまして、時間的な余裕ができる。時間的な余裕ができるとともに、ワープロを開かなきゃ漢字がもう書けなくなるとか、そんなマイナスの面も既に出ているわけで、我々は楽をして余った時間をどういうふうに有効に本来の人間的な生活を豊かにする面に使っていくのかというのが一番大事かなと私は思っています。もうけるよりも、まず自分の生活を豊かにするとか、あるいは人間的に、あるいは自然環境保護とか、そういった部分で我々がどう貢献できるかというところとITを結びつけていくと、そんなに無理のない感じはいたしますけれども。 小牧 どうもありがとうございました。最後に人間的なものとか、そういうところへ行き着いたような気がします。  それでは、最後の議題に移りたいと思います。IT革命、eコマースというのが次の21世紀を開きそうであるというところまで話が進んでいます。もう少し広い観点に立って、20世紀の中でどういうものが出来上がってきたかを総括し、21世紀の中でどういうものができ、どうなりそうであるかをパネリストの皆さんに予言していただき、21世紀末まで文字として残しておこうかと思っています。  皆さんもよくご存じだと思いますが、1901年1月2日の報知新聞の中に20世紀の予言というのを書いています。これはよく引用されていますので、かなりの方が内容をご存じだと思いますが、その中でいろいろ新聞記者が予言している内容があります。 ********表1 1901年1月2日の報知新聞よりの抜粋メモ**********  「無線電信及び電話。電信のみならず無線電話は世界諸国に聯絡して東京に在るものがロンドン、ニューヨークにある友人と自由に対話することを得べし」というふうに言われているもの。それから「遠距離の写真。数十年の後、欧州の天に戦雲暗澹たることあらん時、東京の新聞記者は編集局にいながら電気力によりてその状況を早取写真となすことを得べく、而してその写真は天然色を現象すべし」。それから「野獣の滅亡」というものが加わります。それから、「サハラ砂漠については沃土に化す」ということで、耕地になっているという話。それから、世界一周がかなり早くできるという話。「空中軍艦、空中砲台。チェッペリン式の空中船は大に発達して」と。それから「蚊及びのみの滅亡」。それから「暑寒知らず」、寒さ暑さがなくなりますよと。まあクーラーができるということですね。「植物と電気」で、電気力をもって野菜を大きくすることができる。それから、「人声十里に達す」ということで、大きな声の拡声器ができる。「写真電話」それから「買物便法」。「写真電話によりて遠距離にある品物を鑑定し、且つ売買の契約を整へ、其品物は地中鉄管の装置によりて瞬時に落手することを得ん」と。これはeコマースで物流も含めたものを19世紀末に予言しています。その他、いろいろあるのですが、技術に対してはほとんどのものが実現をしてきている状況にあると思えます。  それでは、20世紀を終わるにあたり、現在の人がどのような出来事を覚えてますかというものを見てみましょう。私自身がつい最近手に入れたもの、JAF?MATE38巻11号に特別企画がありまして、「私たちの見てきたもの20世紀」という編があるんですが、それのうち、かなり大きな得票を得たものを読み上げます。 ********表2 JAF−MATE38巻11号よりの抜粋**********  1945年の広島・長崎の原爆投下第2次世界大戦の終結651票。それから、アポロ11号の月面着陸が470票、それからジャンボ機が御巣鷹山で墜落したのが308票、それから阪神・淡路大震災が1014票、オウム真理教による地下鉄サリンの事件が395票となっています。クローン羊のドリーだとか、トヨタのプリウスとか技術的なものも何件か出てきていますが、40票程度であり、予言時の技術に対する期待よりどちらかといえば技術がもたらした災厄の方が高い票数を得ています。技術に始まり人災・天災を含めたそういうで終わったというのが20世紀の総括かなというふうに思えます。  これを踏まえて、21世紀に何が起こって、21世紀末にどうなるであろうかという話を一言ずつパネリストの方から。これは気楽に、先ほどの報知新聞の記者を見てもわかると思いますが、かなりいい加減なものもあります。動物と瞬時にお話ができるようになるという、そういうものも含まれてますので、そういう観点から一言ずつ何か。  これは情報通信学会の会誌に載りますので、21世紀が終わったときに、もう一度また見直してもらえる機会がありますから、自由放談で結構ですので、まずパネリストから聞きまして、またフロアの方にも手を挙げていただいて、こうなってるだろうという話はお伺いいたします。では、藤田さんの方からお願いします。 藤田 余り天地がひっくり返るようなおもしろいアイデアではなくて申しわけないんですけども、20世紀の100年間で非常に消費者というのが、先ほどお話ししたと思うんですけども、したたかにもまれて、消費者として目も肥えたと。それから、インターネットというのは、いろんないい情報も運んできてくれるけれども、ネガティブな情報も流通しやすいですね。例えば、この店はまずいから行くなみたいな、そういうことだって簡単に流通させてしまうような、そういう恐ろしい情報も運んでくると。この2点から、これは目に見えるもの見えないものに限らず、商品というのがもっともっと21世紀は洗練されていくんじゃないかなと期待を込めて申し上げておきたいと思います。 岡本 100年先はちょっと想像できない話ですので、もう少し短い10年ぐらい先ということでお話しします。インターネットに限らず非常に大量の情報が氾濫している中で、必要な情報を取捨選択できなくなっているような感じを持っています。技術的にはどのぐらいまで進んでいるのか不明ですけど、エージェントという技術ですか、要はこちらの意思決定をサポートしてくれるというか、かわりに動いてくれるというか、そういう何かがないことには、ネットの非常にネガティブな面でとられるようなもの、例えば犯罪というか、そういうことばっかりにスポットが当たるような気がしてならないと思っています。 小牧 皆さんちょっと具体性に欠けて、割合ぼやっとした話になっているんですが、もう少し具体化されたものをできればご提案いただいた方が、21世紀末に生きていく人にわかりやすいんじゃないかと思いますので。(注1) 釜野 金融に関しては、特に例えば100年前と比べて新しいと言われるものというのは、デリバティブなんかは少しそうかもしれないですけども、例えば債券にしても株にしても、あるいは為替にしても100年前もあったもので、違うのはとにかくスピードが速くなったというのと、例えば昔であれば証券取引所も全国に8つあったんですけども、どんどん減ってきて、ほとんど取引所というのは意味がなくなりつつある。これは多分グローバルに広がるということだと思いますので、金融市場についていえば世界はほんとに1つになって、しかも瞬時に動くようになっていると考えられます。  後から検証できるようなことでいえば、多分去年から今年にかけてインターネットバブルと言われるものがあって、ナスダックの株とかもとんでもなく上がった。日本でいうと光通信が2月の100分の1以下に今なってますけれども、こういったことが起こりやすくなるんじゃないかなというふうには思います。ですから、これは瞬時にみんなが同じ方向に走るとそういうことが起きる。ただ、もうこういう経験は今してますから、大体そういうパニック的なことというのは30年に一度とか60年に一度、要するに世代が1回変わるとか2回変わると発生するのではないかと思います。なかなか検証できないと思うんですけれども。 小牧 あとで検証しやすくするため、簡単にイエス、ノーで答えてください。取引所や金融的な世界が1つになりますと、それじゃ通貨は1つになるのでしょうか、ならないでしょうかという質問にイエス、ノーで答えていただければ。 釜野 100年後ですからイエスじゃないかと思います。ユーロも1つになりつつあります。多分、ドルになるのか円とかじゃなくて、ほんとに違うもので何かできちゃうかもしれません。 小尾 私の場合、このインターネットのビジネスに入ったきっかけというのは、どこにいても仕事ができるんじゃないのかなと。何も会社に行かなくてもよさそうだというのが最大の理由で、こういうふうなことになったら何も会社へ行く必要ないし、アメリカでほんとに船の上からでも仕事ができるというようなことをやっている海外の方もいらっしゃいます。日本では、工場なんかも遠隔工場なんていうのが、NTTの代金が高いので中止したという話もありますけど、そういうものさえ解決されれば、遠隔工場も実現する可能性は高いです。これにより人のコミュニケーションとか触れ合いとか、そういうものでいろいろと問題があるのかもしれないですけど、何もほんとに日本という国自体にいる必要もないし、私はハワイかどこかでもって仕事ができたらいいなと本気で思ってますので、そういうふうな形で自分が行きたいところで働けるようになる。人によっては言葉の問題があるからやっぱり日本でのビジネスが非常にいいと、そういうふうなことを自分で選んで、ほんとの意味でのグローバルに何か仕事ができて収入が得られるというような社会になっていてもらいたいなというのはあります。 菅原 日本語でしゃべったら英語圏の人には英語で、それも肉声でという時代が来てほしい。でも、英語を覚えないというのはとんでもない話なので、英会話の試験はもっと難しくしてほしいなという感じがいたします。  僕はもう一度、ITに支えられた人間生活になると思いますけれども、経験と勘と度胸の復活、それを21世紀には期待したいと。それと、宗教対立とか民族対立とか非常に多いので、心のケアをもっと豊かにという、それを期待しております。 小牧 私もコーディネーターなんですが、ここだけは参加をさせていただきます。おやじがなくなったとき、自叙伝みたいなのを書いてあげようかなと思って、少し書き始めたんですが、子供が見るとおやじの背中しか見えていない。一生懸命働いている姿しか見えていなくて、事細かくいろんな話をした覚えがないですので、どうもデータがないんですよね。  ところが、21世紀になると、eコマースを含めていろんなところに、おやじやおじいさんの足跡が残っていて、それをトレースすると、あのときおやじは何を考えてたんだということがわかるような、世界が出てくるのかなと思っています。これは危ないかもしれませんが、肉親には分かるようにして欲しいと思っています。  さらに言いますと、犬とかなんかのペットがすでにロボット化してそれをかわいがるんですが、そのペットの方が、長生きしていて、その人のすべてを知っていて、自分の子供の世代のときには何も言わないんだけれども、孫の世代になると、おじいちゃんはこんなときにこんなことやってたよということを言い出すようなことになるのかなと思ったりしております。ペットが100年生きて21世紀を総括していたりするかも知れません。  フロアの方で、予測だとかそういうものを含めてご意見がございますでしょうか? 大塚 鬼木先生の話をお伺いして非常に勉強になったし、自分も整理ができたし、そしてこの日本がIT革命の中でほんとITだけでいけるかどうかというのは、1つは完全に文化の問題であるし言語の問題でもあると思います。そして、最後に、グローバル化ということをちょっと言及されましたけども、このままでいくと鬼木先生が指摘された日本的体質を非常に背負いながら、それを解決できないIT化になる可能性が非常に強いと思います。何かそれを打ち破る、そういう新しい社会をどうつくっていくのかというのがやっぱり一番大きな課題だという感じがします。 小牧 わかりました。大塚さんは、夢舞台の常務取締役を務めておられるんですが、来年コミュニケーションフォーラムが夢舞台で開催されますので、その中ででもまたご議論いただければと思います。ほかにございますでしょうか。龍谷大学の押田さん、何かありますか。 押田 非常に広範囲のお話でしたので、未来予測の話になりますと、必ず出てくるのがやはり言語の問題。言語の問題の扱いをどうするか。そういう意味で、おっしゃった同時通訳電話ですか、これはやはり期待するのが大きいんじゃないかと思います。  それから、人にとってほんとに大事な情報が何かといったような、やや哲学じみた話になるかもしれませんが、その辺のことをやはりもう少し勉強したいと思っております。例えば、何かでぶっ倒れて目が覚めたとき、あるいは拉致をされて目隠しを取られたとき、一番先に何を聞くか。「ここはどこだ」「今何時」と言いますね。なぜ場所と時間を人は一番に聞きたいのか。それも分析してみますと、場所と時間を聞けば今までの経過が大体わかる。次は、やはり家族へ連絡がとれる可能性というのがそこでわかってしまうわけですね。ですから、最後に触れられましたように、やはり命の問題、それにかかわる情報が一番大事でしょうし、そしてその次はやはり家族の問題であったように思います。  そういうことを思いますと、21世紀になりましても、人が欲しい情報、ほんとに極端に言ったら動物としての人間が欲しい情報は何かというようなことは余り変わらないのと違うかいなと、楽観的にそう思っております。失礼しました。 小牧 どうもありがとうございました。あと、佛教大学にお勤めの荒木さん何か。 荒木 佛教大学という勤務先の名前が出てきたんですけど、私は俗人ですので僧籍は持っておりません。心の問題に近いところにいるのかなという気はしますけども、考えてみないといけないのは、やはり情報化していくということは、我々の住んでる世界が大きく変わることだと思うんですね。これが文明の根本的な変換につながる可能性があると思うんですけども、ポイントはやっぱりバーチャルな問題とシミュレーションですね。つまり、バーチャルというのは頭の中がぐちゃぐちゃになるということですね。それから、シミュレーションも人間でないものが人間として体をもって動く、この動き方がぐちゃぐちゃになるというんですね。この2つともが、頭と体がぐちゃぐちゃになるのが21世紀。ちょっとある意味では怖いといいますか。  この2つの面でぐちゃぐちゃが起こる可能性、これをどう逆にすればいいのか。つまり、秩序という問題がありますけども、エントロピーの増大をどのようにして逆転させ、そこにやっぱり生命とか社会とか秩序とか、おのれをどう保つかという問題があるんじゃないかなという気がします。 小牧 それではパネリストの皆様、フロアの皆様どうもありがとうございました。このシンポジウムはこれで閉めさせていただきます。 ===========脚注=========== (注1)司会の21世紀への具体的な予言をと言う言葉に対し、その後の意見交換会で、藤田さんから21世紀には国際結婚の比率が非常に増加(50%)しているだろうという予言がなされました。追加しておきます。